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国際VHFの基礎知識

航海計器、国際VHFの基礎知識をご紹介します。

国際VHF(船舶共通通信システム)は、海上における航行の安全のために使う国際的な無線通信システムです。平成21 年の電波法改正により“総務省技術基準適合品” となった国際VHF 無線機の運用における無線局免許申請手続きが簡素化されたことで、プレジャーボートの国際VHF 運用が容易になりました。これによって、国際VHFで使われる57チャンネル全てをカバーでき、外国船との交信も可能な世界共通の周波数を使って、迅速な危険回避行動がとれるようになりました。この無線通信システムを使用し、船舶間で安全航行のための直接交信が可能な無線機が国際VHF無線機です。

国際VHF の使用には「海上特殊無線技士免許」と「特定船舶局免許」が必要です

一般的にプレジャーボートに搭載する機器としては、出力5W以下のハンディタイプと25W 以下の固定型があり、5W 以下は「第3級海上特殊無線技士」以上、25W以下は、「第2級海上特殊無線技士」以上の資格で運用できます。ただし、実際にボートで無線局を開局するには海上特殊無線技士免許の取得後に、電波法に基づき「特定船舶局」の開局申請が必要です。
また、無線機にDSC機能(デジタル選択呼出機能)が搭載されていれば、緊急時に遭難通報(DISTRESS)を発信することで、GPSで得た自船の位置情報と遭難信号を周囲の船舶や海岸局に送信することができますが、その場合、第2級海上特殊無線技士資格以上が必要になります。

使用する機器の機能・出力ごとの必要な資格

  • 携帯型5W(DSC機能無し) 第3級海上特殊無線技士(海特3)以上
  • 携帯型5W(DSC機能付き) 第2級海上特殊無線技士(海特2)以上
  • 据置型25W 第2級海上特殊無線技士(海特2)以上

※すでに海特3級の資格がある場合は、より短時間の講習で海特2を取得することが可能です。

ボートに国際VHF無線機を設置する場合には、海上特殊無線技士免許取得後に、無線局(特定船舶局)としての免許も受けなければ違法行為となり、罰則規定があります。
また、設置する無線が技術基準適合品の場合、予備免許から落成後の検査までの手続きが省略されるため、手続きが簡略化されます。

固定型とハンディ型

市販の国際VHF 無線機には、コンソールなどに設置する固定型(25W)と、携帯式のハンディタイプ(5W)の2種類があります。5W以下のハンディタイプは5年毎の定期検査がありませんが、無線局としての認可は、あくまでもその船の無線通信設備に対して行われるため、ハンディ型であっても、その船外でそれを使用することはできません。

固定式の国際VHF 無線機。操船しながら通話できるヘルムステーション周辺に取り付けます
防水機能があり、オープンボートやフライングブリッジでも使用可能なハンディタイプ。出力は5W以下

主な国際VHF無線機の用語

出力

その無線機の最大送信出力を表しますが、プレジャーボートで使用する国際VHFの場合の最大送信出力は、ハンディタイプで「5W以下」、固定型で「25W以下」が一般的です。
また、通常、送信出力の切り替えスイッチが付いており、高出力と低出力を使い分けることが出来るようになっていますが、これによって、近距離での通信できる場合に出力を下げて消費電力を抑えることができます。

送受信チャンネル数

国際VHF に割り当てられている、世界共通の57全チャンネル全てを使用できます。これによって、漁船や外国船など船舶の用途・規模を問わず相互通信が可能です。

スキャン機能

スキャン(scan)は、いくつかのチャンネルを常時走査しながら見張っていて、通信が飛び込んできたところで、そのチャンネルの通信を受信する状態になる機能です。

DSC 機能(Digital Selective Calling)

デジタル選択呼出機能と呼ばれ、緊急時に接続されたGPSで得た位置情報と遭難信号を周囲の船舶や応答できる海岸局に送信できる機能です。ただ、この機能を使うには、二級以上の海上特殊無線技士の資格が必要になります。

緊急時に位置情報と遭難信号を発信できるDSC 機能
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