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2軸船(2基掛け)の離着岸

2基掛けエンジンを搭載したボートの離着岸についてご紹介します。

2基掛けエンジンボートの操縦

2基掛けの基礎知識

通常操船時

大型のモーターボートでは、エンジンは1基だけ、というケースよりも2基掛け・3基掛けなどのケースが多く見受けられます。
これは、エンジンの馬力を確保する、という事や、ボートの傾きを防ぐため、外洋でのエンジン故障時のリスクヘッジなど、色々な理由の他に、操船上でも大きなメリットがあります。

2基掛けの船外機の場合、ハンドルを切ると左右の船外機は同期しており、同じ量だけ角度を変えます。
また、スロットルは左右の船外機別々に操作できますが、基本的には通常走行時は同じ様なスロットル量で操作しますので、1基のみのボートと全く同じ感覚で操作します。
つまり、通常走行時は1基掛けのボートも2基掛けのボートもあまり大差は無いものです。

通常走行時の左旋回ではカーブを描きながらゆっくりと船首は左方向に向きを変えていく。

左右の船外機を逆の推進方向にした場合

ボートの右の船外機を前進に、左の船外機は後進に掛けると、船尾を中心に船体全体を左に回転させようとする力が働きます。この様に、左右の船外機を前進・後進と逆の推進方向に入れるとボートは非常に小さい範囲で小回りする事ができます。

この様な2基掛け船外機ボートの特長を理解していると、狭い場所でボートの向きを変える(その場回頭)事や、着岸時・離岸時の桟橋への接近方法など、様々な場面で活用できます。

狭い水域での2基掛け船外機ボートの操縦法

【全体が狭い港の奥から離岸する操縦法の一例】

  1. 1の位置から普通にハンドルを右に切って曲がりたい所ですが、その様な操縦だと、左の船尾が左の岸壁に当たってしまうため、一旦真直ぐに前進させます。
  2. 船尾が完全に桟橋よりも前まで来たら、左のエンジンをニュートラルに、右のエンジンを後進に掛けます。こうする事で、前進の惰力を止めながら、右にその場回頭する力が働きます。
  3. 左エンジンを前進・右エンジンを後進にし、更に回転モーメントを付けます。
  4. 前進のパワーが強いと前の岸壁に激突してしまいますので、前に進み過ぎないように注意しながら、ボート全体が出口方向に向くように回転させます。
  5. 他船に注意しながら出港していきます。

【上記港に入港・着岸する方法の一例】

一見難しいと思うかもしれませんが、実は2基掛け船外機ボートだと、この様な形状の場所に着岸するのは実は比較的簡単です。

  1. 港の奥の地点まで微速で進みます。
  2. 左のエンジンはニュートラル、右のエンジンを後進とし、行き足を殺しながら右回転のモーメントを付けます。
  3. 右エンジン後進・左エンジン前進として更にボートを回転させますが、前後の余裕が有りませんので、前にも後ろにも進まないように、両舷のエンジンのスロットル量には十分に注意しましょう。
  4. 後はそのまま両舷エンジンを後進にし、真直ぐバックし、所定の位置まで下がったら係留するだけです。

2基掛け船外機の操縦は理屈さえ分っていれば非常に便利な操縦方法がとれます。1基掛けだと切り返しに何度も前進+ハンドル操作、後進+ハンドル操作、という動作を繰り返す必要がありますが、2基掛け船外機ボートであれば、その場回頭機能を使う事で、ボートの全長よりも少し長いだけの幅の水域でも比較的簡単に出港・着岸ができます。

スラスターを使っての離着岸

大型のモーターボートなどでは、少人数での着岸・離岸などの為に「スラスター」と呼ばれる装置を装着するボートが見受けられます。
一般的にはバウ側のみの設置が多い様ですが、ここでは、バウ・スターン双方にスラスターを装着した艇を例に解説していきます。

ダブル(バウ&スターン)スラスター搭載で2基掛け艇のようなマニューバを実現

スラスターはボートの真横方面に推力を発生させる装置で、バウスラスターを左方向に作動させると、右舷方向への推力を発生し、船首が左へ回転します。

バウ・スターンのスラスターを同時に使用すると、前後共に左側への推力を発生させる事ができるため、ボートは真横に進む事が可能となります。

スラスターを装着したボートは桟橋への進入角度などはあまり気にせずに接近し、着岸地点の真横で横にスライドさせるような着岸方法も可能となります。

ジョイスティックシステムでの離着岸

ジョイスティックはレバー1本の操作で、前後左右だけでなく、360度の旋回など容易な操船が可能なコントロールシステムで、離着岸や狭いマリーナ内での操船をサポートしてくれます。
従来の船外機艇のようなトランサムを軸とした操船とは異なり、操船席に近い船体の中心部を軸とした操船ができます。そのため、ドライバーの感覚が艇に伝わりやすく、より自在な操船が可能となります。
2基の船外機は、ジョイスティックの操作に応じ、それぞれ別々の動きで方向、前後進、エンジン回転数を調整するため操船性は格段に向上、思いのままに船を移動させることができます。この革新的なシステムは、船外機仕様の「ヘルムマスター」およびインボート仕様の「IPS」が、すでにいくつかのモデルに搭載されています。

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