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WR250Rのメンテナンス──その2

2008年6月13日
こんにちは、ヤマハ発動機販売の高橋です。

前回に引き続き、「トモ・レーシングサービス」の吉原朋正さんによる“WR250Rのメンテナンス講座”をお届けします。

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トモ・レーシングサービス

こんにちは!吉原です。
前回はオイル、エアクリーナーエレメント、チェーン周りのメンテナンスポイントをお知らせしました。今回も、基本的なメンテナンスポイントをご紹介します。では、始めましょう!

吉原朋正さん

●フロントフォークのエア抜き
フロントフォークには、減衰力を生み出すためにフォークオイルが入っています。しかしフォーク全体にオイルが満たされている訳ではないので、オイルのない部分は空洞になっています。しかし外気温が上がったり、フロントフォーク内のパーツが動くことで摩擦熱が生まれたりすると、その空洞内の空気が膨張してしまいます。加圧式じゃなくても、フォーク内は密閉性が高いので、膨張した空気の逃げ場がないんですね。そうすると、膨張した空気がバネの役割を果たしてしまい、フロントフォークが硬くなったようなフィーリングになってしまうのです。
その症状を改善するのが“ブリードスクリュー”。そのボルトを緩め、逃げ場を失った空気を“プシュッ!”と抜けば終了。エンジン下に適当なスタンドを置いてフロントホイールを持ち上げ、フロントフォークが伸びきった状態で作業を行います。

ブリュードスクリュー
↑ブリュードスクリューは、フロントフォーク最上段の中心より少し上側にあります。写真でマイナスドライバーが当たっている場所です。軽く緩めるだけではなく、ボルトの根元にセットされた黒いゴムが見えるくらいまで緩めてしまいます。内圧が高まっていると“プシュッ!”と空気が抜ける音がします。

●スポークホイールの確認
WR250Rはもちろん、ほとんどのオフロードモデルはスポークホイールを装着しています。これは軽さをキープしながら、路面からの衝撃を吸収するのにスポークホイールが適しているからです。でもこのスポークは、ときに緩んでしまうことがあるので、定期的な増し締めが必要です。またツーリングやコース走行前にはスポークを掴んで、しっかり張られているか確認しておきましょう。張りが均等じゃないときは、ショップで増し締めしてもらいましょう。

スポークの確認
↑クロスしている2本のスポークを、握るようにギュッギュッとしならせてみます。2本の張り具合が同じようならOK。緩いようなら増し締めします。

●林道でまさかの転倒時に確認
もし転倒してしまった場合、まずは安全を確保し、カラダのダメージを確認しましょう。そして後続車に注意しながら、車両を安全な場所に移動させます。そこで初めて車両の確認をしてください。
その転倒時の車両確認で意外と気付かないのがフロントアクスルシャフトのズレ。フロントアクスルシャフトとは、フロントフォークとホイールを貫通し繋いでいる棒のことです。転倒時に強い衝撃を受けたことで、アクスルシャフトの軸受け部分がずれてしまうことがあるんですね(写真を参照してください)。フロントフォークは左右が平行に装着されてこそ本来の性能を発揮します。少しでもずれていると、その性能は半減してしまうのです。写真程度のズレなら一度ボルト類を緩め、再び締め直せば問題なし。ただし、目に見えない部分がどんなダメージを置けているか分からないので、ショップで転倒したことを申告し、チェックしてもらいましょう。

正常なフロントアクスルシャフト
↑コチラが正常な状態。写真中央のアクスルシャフトのアタマが、フォーククランプに対し、ほんの少しだけ凹んでいるのが分かりますか。反対側はアクスルシャフトにネジ山が切ってあるので、ずれる心配はありません。

ずれたフロントアクスルシャフト
↑コチラがずれている状態。アクスルシャフトが、フォーククランプに対して凸状態なっています。これではフロントフォークが本来の仕事をしてくれません。簡単に元に戻るので、ショップに相談しましょう。

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高橋です。
アクスルシャフトのズレ、気にしたことがありませんでした。帰ったら、愛車のチェックをしてみます。

次回も吉原さんにお手伝いいただきます。


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