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WR250Rのメンテナンス

2008年6月10日
こんにちは、ヤマハ発動機販売の高橋です。

ゴールデンウイークから約1ヶ月が経過し、日々の忙しさに揉まれ、楽しい思い出も忘却の彼方に葬られそうになっております。

でも、忘れてはならないのがオートバイのこと。ツーリングに出掛け、久しぶりに愛車と長い時間接すると、いろいろ気になる部分が出てくるものです。

そこで今回のブログは、旅で疲れた愛車を、また来るべき新しい旅に向けて自分にフィットさせるためのポイントをご紹介したいと思います。

とはいっても、私も教えて欲しい側の人間ですので、今回は強力な助人をお願いしました。ショップ「トモ・レーシングサービス」の吉原朋正さんです。

吉原さんは、ヤマハの元ワークスライダーであり、モトクロッサーの開発ライダーもつとめていました。昨年開催された「WR試乗会」では、コース監修に加え、“WR基本セッティング講座”の講師も務めていただきましたので、そのお顔をご存じの方も多いと思います。今回ご紹介するのは、その“WR基本セッティング講座”のブログ版といったところです。

それでは吉原さん、お願いいたします。

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吉原朋正さん

こんにちは!吉原です。
これからWR250Rを使い、基本的なメンテナンスやセッティングのポイントをご紹介したいと思います。その実際の作業は、工具や知識を必要としますのでショップで行うことをお勧めします。では、始めましょう!

●オイルチェック&交換タイミング
エンジンオイルは、エンジン右側にあるオイル点検窓でチェックします。窓の上下にラインがありますが、上側がフルレベル、下側がロアレベルになります。車体を水平に保ち、この上下線の間にオイルレベルが見えればOK。フルレベルを超えていたり、ロアレベルに達していないとトラブルの原因。販売店に相談してみましょう。

オイル点検窓
↑これがオイル点検窓

オイル交換のタイミングは、初回は1000km時(または1ヶ月点検時)、取扱説明書によるとそれ以降は6000km走行毎(または1年毎)となっています。でも、たとえ走行距離が6000km以下でも、オイルが汚れているなぁと感じたら換えてしまってOK。

推奨オイルは、ヤマハ4サイクルオイル「プレミアム」「スポーツ」「ベーシック」のいずれか。ウチのお店では「プレミアム」をお勧めしています。WR250Rは水冷エンジンのため油温をコントロールしやすいので、1年を通じてこのオイルで大丈夫です。交換時のオイル量の目安は1.3リットルですが、残留オイルによってその量は変わりますので注意してください。

ヤマハ4ストロークオイル「プレミアム」
↑ヤマハ4ストロークオイル「プレミアム」

また、オイルフィルターも定期的な交換が必要です。オイルには、金属パーツの摩擦によって発生する目に見えない金属粉が含まれています。それを再びエンジン内に循環させないための濾過装置がオイルフィルター。初回交換は1000km(または1ヶ月点検時)、それ以降は18000km毎の交換が推奨されていますが、オイル交換2回に対し1回、またはオイル交換3回に対し1回と覚えておけば分かりやすいですね。

オイルフィルターはこのあたり
↑オイルフィルターはこのあたりに入っています。

●エアクリーナーエレメントのチェック
エアクリーナーエレメントは、フューエルインジェクションが混合気を作り出すために必要な、空気を取り入れるための部屋(エアクリーナーボックス)に設けられた空気の濾過装置。毎回交換するオイルフィルターとは異なり、定期的な洗浄が必要です。洗浄には専門的な知識と道具が必要なためショップにお任せすることをお勧めしますが、そのタイミングはオーナーが決めなくてはいけません。そこでオイルフィルターと同じ間隔で洗浄を依頼すれば管理しやすいと思います。

エアクリーナーエレメント
↑サイドカバー&エアクリーナーボックスを開けると、このようにエアクリーナーエレメントがセットされています。

ただ林道ツーリングやコース走行を行ったときには、砂埃が舞い、その中を走るとエアフィルターは汚れてしまいます。それが原因ですぐにトラブルになることはありませんが、愛車を常に良い状態でキープするために、砂埃の中を走った後はエアフィルターを洗浄するように心がけましょう。

エアクリーナーエレメント
↑エアクリーナーエレメントを取り外してみました。走行距離1400km、林道ツーリングを1回こなした車両ですが、エアクリーナーはかなり汚れていました。中央の四角い跡がキレイなところ。

●チェーンの伸びチェック&給油
レーシングスタンドなどを使用しリアホイールを持ち上げ、リアショックが伸びた状態でチェーン中央部を手で上下に動かし、たわみ量が規定範囲にあるか確認します。規定範囲は38~48mm。目視だけではなく、必ずチェーン自体を上下に動かし、チェックしましょう。たわみ量が多すぎるのはもちろん、少なすぎる(チェーンの張りすぎ)にも注意が必要です。

チェーンのたわみ量確認
↑チェーンのたわみ量確認は、こうやって手でチェーン自体を上下に動かして行います。

またツーリング前後や雨天走行後には給油するよう心がけましょう。これには専用のチェーンオイルが必要です。給油時には、チェーンやスプロケットに十分注意してください。

チェーン

チェーンオイル
↑給油は、チェーンの駒にオイルが染み込むように吹き付けましょう。チェーンオイルは、MEスーパーチェーンオイル/ウエットを使っています。

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高橋です。
次回も吉原さんにお手伝いいただきます。


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関連記事はこちら
WR250Rのメンテナンス──その2
WR250Rのメンテナンス──その3
WR250Rのメンテナンス──最終回
2008年6月10日

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