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バイク初心者必見!速くなるよりも上手くなるための、柏流ライテク論 第4回「夏のワインディングで、このテクだけは習得しよう」

2012年7月27日
こんにちは、柏秀樹です。

皆さん、元気に笑顔で走ってますか~?今回は「夏のワインディングで注意したいこと」について。

ワインディング

まず、夏ならではの問題点。それは路面温度です。
アスファルトが軟らかくなっていて、非常に滑りやすいことがあります。特にコンクリート路面に亀裂が入って、その亀裂にタールを流しこんで修復している路面が危険。ワインディングロードでも急にこんな路面に遭遇することもありますから、やはり余裕ある速度で走るのが基本です。

また、激しい雨や台風の後は道路が塞がれるほどの倒木があったり、木の枝や落ち葉が散乱したり、大きな石が路上に落ちていることもあります。最近のゲリラ豪雨と呼ばれる激しい夕立では、地域によって鉄砲水に襲われたり、一気に道路が冠水状態になることも。冠水状態の道を渡ってしまってプカプカと浮き出してしまうクルマがあるように、バイクもひとつ間違うと転倒して、水を吸い込んで不動にしてしまうケースがあります。くれぐれもこのような状態や天災を甘く見ないことです。

次に夏休み中の観光地です。ここではブラインドコーナー(見通しの悪いカーブ)の途中にクルマを止めて記念撮影というようなできごとも考えられます。いつもより速度を控え、ブレーキ準備のまま走るぐらいの用心深さがちょうど良いのです。

このようにいろいろなことが想定できる夏のワインディングですが、そういった事態に対して先読みできる能力、現場での対応力のためにやはり基礎テクニックが欠かせません。

前回は仙骨を起こす乗り方、仙骨を起こすという意味が理解できない場合は胸を張る乗り方をオススメしました。

この正しい姿勢をベースにさまざまな技を習得していきます。フォームについては外観から見た形が重要なだけではなく、呼吸管理と上体入力脱力管理と広い視界による水平バランスの確保がリンクする必要があります。

外観を整えるのがアウターフォーム。そして呼吸と連動した上体入力脱力管理がインナーフォームといいます。そのいずれもできていることが真の安全と楽しさを約束するのです。

たとえば、カーブにさしかかって呼吸が止まったり、上体に力が入っていたり、首が進行方向を向いていなかったり、という場合は「同じ速度」で他者と同じように走れていても、すでに体が危険な領域:臨界点に達している場合が多いのです。

ロードスポーツタイプのカーブ時の良い姿勢と悪い姿勢
↑ロードスポーツタイプのカーブ時の良い姿勢と悪い姿勢

クルーザータイプのカーブ時の良い姿勢と悪い姿勢
↑クルーザータイプのカーブ時の良い姿勢と悪い姿勢

カーブで転倒したライダーにコメントを聞くと「ハラハラしていないし、無理していないのに何故か転んじゃった」と言う例が大半。無理をしていないつもりでも、ハンドルにチカラが入っていたり、ブレーキ操作がラフだったり、急な倒し込みをしていたりします。

オフロードタイプのカーブ時の良い姿勢と悪い姿勢
↑オフロードタイプのカーブ時の良い姿勢と悪い姿勢

スクータータイプのカーブ時の良い姿勢と悪い姿勢
↑スクータータイプのカーブ時の良い姿勢と悪い姿勢

本当は直線でやるべき練習をもっとやって、自分のレベル認識:客観的な自己評価能力を上げることが大事なのに、先にカーブでの戦略を習得しようとしている。気がつくべきポイントを十分に理解し、自分のレベルを認識することが大切なのに「カーブでの戦略方法を習得したら安全と速さが手に入る」と錯覚してしまうのです。ゲーム機で戦略を覚えるのとは訳が違うのがバイクです。ゲーム機の場合は、失敗してもリセットできますが、バイクでそれはできない。

先ほど触れました正しいフォームと連動して、いかに直線路でのよりシビアな発進・加速・減速・停止ができるか。これも実に何通りもの練習方法があるのですが、まずは両足を出したまま、穏やかな発進・加速・減速・停止する事からやってみて下さい。エンストしたりふらついたり、バイクが停止する前に足が着いたり、腕に力が入ったり、意外に上手くできないものなのです。

クラッチ、スロットル、ブレーキそれぞれの操作がどれだけ滑らかにできているのか、自分でチェックできますか?単純に発進ならできる、加速ならできる、ブレーキならできる、というのが普通ですが、それではゲーム機のボタン操作と同じなのです。バイクはそのボタンをどのように押すのか、というミリ以下に迫るわずかな操作を、低い速度の直線でこそ確認すべきことなのです。

この地道な練習が上質な走りを実現します。バイクを荒々しく扱うと一見上手そうに見えますが、乱暴な操作の結果が転倒につながるだけであり、これを認識して解決しないままでいると、いつまでも上達しないまま「慣れ」でカーブを通過する人になってしまうのです。これでは真の安全と楽しさに手が届かない可能性が高いのです。

夏のツーリングシーズンは、ゆったりとした広い気持ちでバイクに接してみて下さい。わずかに速度を落として走ると、道路の危険性や他の車両の危険性まで、すごく良く見えてくるはずです。わずかに速度を落とすと自分の無理無駄ムラにも早く気がつきます。それが低疲労と安全性を約束し、より快適なライディングを可能とするのです。ともかく周囲の速いライダーがカーブを凄いスピードで走っても、けっして無理しないことです。

そして最後にワインディングでは、自分の車線の中央を維持して下さい。カーブに入る時も、カーブの頂点でも、カーブの出口でも。中央を維持することを私はセンター・キープ・メソッド(CKM)と言っています。これができない時は飛ばし過ぎや集中力低下状態です。CKMはセンターラインを割ってくるバイクやクルマに対しても安全性確保ができますから、ライフラインの確保でもあるのです。

どうか皆さん、CKMしながら素敵なバイクツーリングを!そしてどこかの道で会ったらピース!


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