bLU cRUはライダーのチャレンジに寄り添えたのだろうか? ジュニアライダー中島漱也選手の場合
- 2017年12月4日
こんにちは、ヤマハ発動機販売の加藤です。
bLU cRU(ブルー・クルー)は、ヤマハオフロードコンペティションモデルを使用する、アマチュアライダーを対象としたレースサポートプログラム。オフロードを愛し、汗をかき土にまみれ、刺激的な日々を過ごすヤマハオーナーさまのオフロードライフをさらに豊かにすることを目指し生まれました。
発足から約1年半、多くのYZユーザーの皆さまがbLU cRUとして活動していますが、中核をなす「地方モトクロス選手権大会」をキーワードに2017年を振り返ると、若いライダーの躍進が目立った1年でした。
では実際、bLU cRUは彼らに何をもたらせたのか?
関東選手権のジュニア85(JX85)でチャンピオンを獲得。全日本に併催のJX85では過去最多タイとなる6勝を記録*(ヤマハ調べ)するなど、大活躍の中島漱也選手、お父様の鉄也さん、中島選手が所属する「レーシングチーム鷹」の高木雄一監督に、今シーズンを振り返ってもらいながら、bLU cRUが果たした役割についてもうかがいました。
*残念ながら最終戦は悪天候で中止に、最多勝への挑戦ができませんでした。
最初に高木監督のお話をご紹介します。
Q:中島選手の成長をどう感じていますか?
当初はここまで勝てるとは思っていなかったというのが正直なところです。でもフタを開けると著しく伸びましたね。6勝ですよ。この成長は意識の変化だと見ています。中島選手は家族で活動していますが、これまではお父さんの懸命さが目立っていた。ところが今季は、本人に"乗りたい""勝ちたい"という気持ちが見え、さらに努力がプラスされたことが、爆発的な進化をもたらしたのだと思います。
Q:bLU cRUはその成長に寄与できていますか?
中島選手に限らず、bLU cRU賞の存在は大きいですね。これは親の経済的な負担を軽減するものですが、若いライダーにプロ意識を植え付ける重要な役割もあると思います。努力は達成感や満足だけでなく賞金にも変わることを知る機会になり、それが何かしらの変化を産むわけです。
これ以外にも、表彰台に立てばヤマハからキャップや表彰プレートが渡される*。他メーカーのライダーはこの光景にざわつき、ヤマハライダーは誇らしげな表情を見せる。小さな積み重ねですが自信がついていくわけです。
*一部実施できていない地域もあります。
Q:中島選手に期待することは?
中島選手は表彰台の常連ですが、すでに下の世代にとってのヒーローです。実際、中島選手に憧れる子どもたちがレーシングチーム鷹の門をノックしてくれる。でもbLU cRUの象徴で終わってはいけない。ぜひ将来はヤマハのファクトリーライダーになってほしいし、それができるライダーだと思っています。
続いてはお父様の鉄也さんです。
Q:中島選手の変化は?
意識の変化が顕著でした。今も会場に行けば同世代の仲間とワイワイやっています。でも、今年はコースの下見、予選、決勝前のラインチェックなど欠かさず行っている。プロであれば当前のことですが、レースのため、勝つための行動が中心になりました。
レースでも、調子が悪い時には冷静に、最終的にチャンピオンを獲るための走りができるようになった。15歳で自分をコントロールする経験ができたのは大きいですね。親目線ですが、本当によくやっていますよ。
Q:bLU cRUにどんな価値を感じていますか?
bLU cRU賞ではクーポン*という形で賞金をいただいています。本来なら私が管理すべきなのかもしれませんが、あえて漱也が自由に使えるよう、私が買い取る形で現金にしています。一部は自分のために使っているみたいですが、この多くを貯め、本人の意思でYZ125の購入に充てました。
*bLU cRU賞のクーポン詳細に関してはこちら
これまでは親が与えていたわけですが、自分が獲得したもので買うことで、プロの大変さを知り、仕事という意識でレースと向き合う訓練にもなっています。密かに磨いたり、またがったりバイクへの愛着も育っているみたいだし(笑)。bLU cRUを通じてプロになった時の準備ができています。
特別に参加させてもらったダグ・デュバックさんのトレーニングも忘れてはいけません。スキルアップは当然、呼ばれることだけで、無垢な子どもだからこそ素直に自信に変えています。他メーカーの親御さんから何度も羨ましいという言葉を聞きましたが、メーカーのアクションは、それがどんなものでも我々にはスペシャルなのです。
Q:今後の目標を教えてください。
来年は地方選手権のNAに参戦しますが、再来年はIBでチャンピオンをとりIAに上がることが目標です。将来はヤマハのファクトリーライダーになってもらいたいけど、いろいろな可能性もあるし、どこまで行けるかもわかりません。でも、どうなったとしても、ファンに愛され、目標となるライダーになって欲しいと思います。
そうなってもらうために私たち親も全力を尽くすわけですが、ここまで話したようにbLU cRUが大きな存在であるのは間違いありません。漱也も成果をあげましたが、実際、今年も多くの優秀なヤマハライダーが育っているのがそれを証明しています。
鉄也さんの言葉通り、今季の地方選手権を振り返ると、中島選手を含め11人ものチャンピオンが生まれています。
東北選手権
NB:阿部晴其選手(チームピットイン)
JX85:伊藤晃選手(チームピットイン)
関東選手権
NB:笹島克久選手(YSP横浜南)
JX85:中島漱也選手(レーシングチーム鷹)
中部選手権
NA:大嶋康聖選手(YSP浜北大橋レーシング)
JX85:石平凌大選手
近畿選手権
NA:住友篤生選手(フライングドルフィン)
NB:宮野禎生選手(フライングドルフィン)
JX85:川上龍司選手(モトスペース)
中国選手権
NB:松岡力翔選手
九州選手権
NB:崎原太樹選手
モトクロス全国大会でもヤマハライダーが活躍しました。記事はこちら
最後に中島選手のコメントをお届けします。
Q:今シーズンを振り返っていかがでしたか?
昨年のちょうど今頃ですが、周りからの期待ですごいプレッシャーがありました(笑)。そこからの開幕戦(全日本JX85)で、bLU cRUの川上龍司くんに負け、これで目が覚めました。レースは、これまではただ速く走る、攻めることばかりでしたが、今年はレースをコントロールすること。例えば後方との距離を見る。転倒しない、ミスのない走りを意識するなど、余裕を持って戦えた。これが目標としていた最多優勝につながったと思います。
Q:今年の成長にbLU cRUは役立ちましたか?
父の話の中にもありましたが、特に意識したのがbLU cRU賞です。これまでは賞金を意識して走ることはありませんでした。でもプロになれば、それを意識するようになります。モチベーションになることもあれば、レース中はプレッシャーに変わる。実際、最終ラップに転んだらどうしようとか、緊張も味わいました。
また、特別に参加させてもらったダグ・デュバックさんのダグトレでも勉強させてもらいました。全日本ではダグさんの教えを再現する渡辺祐介さんの走りを通じて自分に必要なことを吸収しました。
Q:来シーズンの目標は?
2つノルマを考えています。一つは、日本代表としてワールドジュニア(125)に出場すること。日本人が誰も通過したことのない予選をクリアし、世界の速さを体験したい。そして全国大会でのNA総合優勝です。これはすべて、2019年にIBでチャンピオンになるための準備。IBでは格上に胸を借りるのではなく、勝ちにいく挑戦にしたいと考えています。
Q:将来はどんなライダーになりたい?
日本最強のライダーになることですが、同時に世界でも通用するライダーになりたい。そしてネイションズで活躍して、日本をアピールしたいですね。
1年・365日。
bLU cRUやヤマハがライダーの皆さんと関わっているのはほんの数日です。ほとんどはライダー個人の努力、チーム、そして家族が彼らに寄り添って支えているのが現実。
ただ今回、お話をうかがった3人の言葉を聞いていると、少しはお役に立てているようで、本当にうれしいかぎり。
これからも、ライダーたちの人生に、それを取り巻く家族やチームの皆さまに、心踊る瞬間が訪れるように応援を続けていかねばと、引き締まる思いでした。
最後に、中島選手をはじめ、多くのライダーたちが来春から新たな挑戦をスタートします。来シーズンはどんな成長・進化を見せてくれるのか本当に楽しみ!
また近い将来、中島選手をはじめ、多くのbLU cRUライダーが全日本を走り、優勝争いをすることを期待します!
レースファンの皆さんもぜひ、bLU cRUライダーの応援をお願いします!
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