開発陣のこだわりが盛りだくさん! 走りを思う存分に楽しめる機能が搭載された2025年モデルMT-07をご紹介します
- 2025年2月25日
4世代目となるMT-07がリリースされ2月26日に発売されます。
充実した機能搭載のモデルとして登場した2025年モデルMT-07は、昨年MT-09に搭載されて話題になった走行状況や好みに応じてMTモードとATモードを選択できるY-AMTをMT-07にも搭載しました。MT-07 Y-AMTがラインナップに加わり、走りを楽しむ選択肢がさらに広がりました。
今回は商品企画&開発チームに2025年モデルMT-07&MT-07 Y-AMTのこだわりポイントを聞きましたのでご紹介します。
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「MT-07」商品企画・開発チームのみなさん
【エンジン設計チーフ】・川端 哲也 (写真左)
【エンジン実験チーフ】・大家 竜太 (写真左から2番目)
【プロジェクトリーダー】・北村 悠 (写真左から3番目)
【商品企画担当】・武田 知弥 (写真左から4番目)
【システム設計チーフ】・加藤 彰一 (写真左から5番目)
【Y-AMT開発担当】・岡田 幸洋 (写真下段左)
【車両実験ライダー】・宇田 久人 (写真下段右)
乗って気持ちいい、見ても気持ちいいバイクを届けたい。
商品企画担当:MC商品戦略部 武田 知弥
商品企画・武田
開発コンセプトは"The Advocator of Riding Delight"としました。ライディングの楽しさを伝える伝道師という意味です。乗っても眺めても気持ちいいと思っていただけるバイクをお客さまにお届けしたいという思いからこのコンセプトを掲げ、お客さまにバイクの根源的な気持ちよさを味わっていただくことを最も重視して企画を行いました。
開発コンセプトを実現するための要素として、大きく重視した3つのテーマがあります。
1つ目は、手軽にライディングの楽しさを味わえて、街中や、郊外のワインディング、または高速道路などを使った長距離ツーリングなど、ライディングの幅が広がることです。
2つ目は、あったら便利だなと思う機能・装備の充実と、思わず欲しいなと思うスタイリングです。デザインに関してはすでに担当デザイナーが紹介しているので以下の記事をご覧ください。
【洗練されたナチュラル&シンプルなスタイリングに進化した2025年モデルMT-07のデザインを紹介します!】
【これを読めばあなたはもう誰かに語りたくなるくらいのMT-07デザインマニア! 2025年モデルMT-07のデザインをもっと深くご紹介します!】
三つ目は、ミドルクラスカテゴリーの中で使い勝手のよい機能・装備を充実させながらも、販売価格のバランスを取って、お客さまに納得してご購入いただけるようにすることです。
MT-07は、CP2エンジンならではの加速感や、重量が183kg(MT-07 Y-AMTは187kg)と軽量で大型バイクエントリーの方でも扱いやすく楽しめるモデルです。それに加え、ユーザーフレンドリーな操縦性、つながる機能を搭載したTFTディスプレイ、好みの走行モードを選択できるYRCモードの搭載などライディングを楽しむ新機能や、洗練されたスタイリングなどで、お客さまの所有感を満たせるモデルに作り込みました。
特に250ccクラスからステップアップした20代の大型バイクエントリーで、通勤/通学や週末のツーリングも全てこの1台でこなしたいお客さまにぜひ乗っていただきたいモデルです。
また、今回MT-07にY-AMTモデルを新たにラインナップするのですが、MT-07 Y-AMTは20代のお客さまだけではなく、今まで数多くのバイクに乗ってこられたベテランライダーのお客さまにも乗っていただけたらと思っています。
普段の生活で大型バイクを街乗りや通勤/通学などで快適に使いながらも、週末はスポーツ走行を楽しみたいというお客さまにピッタリなんです。
2025年モデルMT-07でバイクの楽しさをもっと知ってほしい
2025年モデルMT-07 開発プロジェクトリーダー
MC車両原価革新部 北村 悠
※開発当時はSV開発部
開発PL・北村:
MT-07が持つ扱いやすく軽量なボディ、トルクフルなCP2エンジンという基本コンセプトは踏襲しつつ、お求めやすい価格を目指しながらも、ライディングが楽しめる機能を新たに搭載し、車体からエンジンまで一新し、スタリングを磨き上げる開発を行いました。
先ほど商品コンセプトをご説明しましたが、MT-07の役割は、大型バイクにステップアップするお客さまに走りの喜びをしっかり伝え、バイクのことをもっと好きになってもらうことだと考えています。
ヤマハ発動機は、「人機官能」という独自の開発思想を掲げています。我々は、このMT-07こそが最も「人機官能」を体現しないといけないモデルだと考えています。エントリーユーザーにバイクの楽しさを伝えるという意味で、一番身近に感じてもらえるモデルであること。そして、ヤマハの大型バイクラインナップの中でお買い求めしやすい価格であることです。
ただ漠然と付加価値をつけて価値を高めていくというよりは、MT-07が本来持っている根源的な走りの楽しさ、軽快なハンドリングや、CP2エンジンの加速感をしっかりお客さまに感じて悦んでいただきたいと考え、開発メンバーには「ヤマハの中で誰にでも気持ちよいベストバイを作ろう!」を繰り返し伝えて開発を行いました。
「誰にでも気持ちよいベストバイ」のために追い求めた3つのキーワード
開発PL・北村:
先ほど、商品企画の武田が述べた3つのテーマをキーワードに落とし込むと、ビッグバイクの所有感とミドルバイクの気軽さの両立(Cool styling)、つい走りたくなる楽しさ(Easy to get the fun)、気負わず毎日乗り続けられる(Modern usability)、になります。
まずは、このバイクを見てカッコいいと思ってもらい、お客さまに興味を持っていただきたい。そして、乗ってみて、すぐに楽しさを感じられる。街乗りや低・中速度でも気持ち良さが実感できる。さらに、使い続けて利便性や安心感をずっと実感できるMT-07でありたい。
この3つが重なり合うポイントが「軽量・スリム・コンパクト」です。楽しく走るためのハンドリングを作り込む上でも、取り回しが楽で、駐輪場などでの車両の出し入れのしやすさも、重視するポイントでした。
ビッグバイクの所有感とミドルバイクの気軽さの両立
"Cool styling"
Cool stylingは、トルク&アジャイルというMTらしさをスタイリングで表現することに加えて、ライダーとの一体感を感じてもらうことも重視して、人が快適に使えるように設計するエルゴノミクスという考えを取り入れています。ライダーに圧迫感を与えないよう燃料タンクを低くし、ライディング時の視野を確保しています。フロントフェイスも2024年モデルMT-09とリレーションを取った形状としていますが、もう少しフレンドリーな表情に感じられるような作り込みをしています。
そして、大型バイクエントリーのお客さまが、しっかり自分が大型バイクに乗っているんだという所有感をしっかり感じてもらえるように、走りが楽しくなるようなコンポーネントを充実させています。
つい走りたくなる楽しさ
"Easy to get the fun"
Easy to get the funは、走りの楽しさです。MT-07は、街中で交差点を右左折するだけでも分かるハンドリングの軽さと、リニアで力強いトルク特性を持っています。2025年モデルMT-07は、CP2エンジンにYCC-Tという電子制御スロットルを搭載しました。カタログスペックの最高出力は2021年モデルからほぼ変わっていませんが、低中速のトルクは、さっと乗り出してもすぐ分かるレベルで向上していると気づいていただけます。
ここに貢献しているのが新設計のエアクリーナーなんです。吸気ダクトの開口面積と長さを変えたことが効果を発揮しています。さらに、お客さまに心地よい加速感を感じていただきたく、サウンドチューニングも取り入れています。
気持ちよいエンジン音を響かせるサウンド
アコースティック・アンプリファイア・テクノロジーはMT-10やMT-09などシリーズの上位機種ですでに導入されていますが、2025年モデルMT-07は構造が違っています。シートとタンクのちょうど間ぐらいに位置するエアクリーナーボックス吸気口からの音をタンクカバー内側の空間を使って増幅させて、ライダーの耳の真下あたりから聞かせる作り込みをしています。ダクト以外の周辺部品も活用して音を増幅し、加速する際にスロットルを2分の1くらい開けたときに、一番気持ちいい音がすることを狙っています。
この気持ちがいいと感じる音色に、かなりこだわりました。CP2エンジンが発する不等間隔爆発特有の高音と低音が混じり合ったハーモニーは、英語でランブル感とでも言いましょうか、ゴロゴロと唸るような音が聞こえるようにチューニングしています。低音と高音がちょうど和音になるとすごく気持ちいい音がするので、ぜひヤマハ バイクレンタルなどで試乗して、我々がこだわって作り込んだサウンドをお聞きいただきたいです。
より幅広い速度域で楽しめるよう、剛性を最適化
2025年モデルMT-07はメインフレーム、リアフレーム、リアアーム、フロントサスペンション、前後ホイールなど全て新作になっています。2021年モデルよりも幅広い速度域でライディングを楽しんでもらえるように、倒立サスペンションの採用と合わせて、剛性バランスの最適化を行っています。
MT-07はフレームのしなりを感じられる特徴がありますが、今回はバランスを整えるために剛性を上げて、より接地感を感じられるようにしているんです。
倒立式フロントサスペンションの採用もお客さまがライディングを楽しめる速度域を広げる狙いや、ハンドリングの向上、ブレーキング時の安心感に貢献しています。新作フレームのパイプワークも微調整し、パイプの径や板厚も変更し、新作のリアアームも剛性アップするようにチューニングしています。
気負わず毎日乗り続けられる
"Modern usability"
大型バイクエントリーのお客さまに安心感をもってもらえるように、扱いやすい車体を目指しました。2021年モデルから約1kgの軽量化を達成しているんです。
・2025年モデルMT-07 重量 183kg(MT-07 Y-AMTは187kg)
・2021年モデルMT-07 重量 184kg
2025年モデルの特長として、倒立式フロントサスペンションや新しい電子デバイスも搭載しているのですが、そのまま開発を進めると4kg以上も重たくなってしまいます。エンジンも車体も含めて地道な作業をコツコツと積み重ね、ほぼ全てのパーツで軽量化を施してるんです。
例えばハンドルクラウンは、複雑な形状を作れるアルミダイキャスト製に変更して、分割されていたものを一体化しました。これにより、約500gの軽量化を実現しました。
スリムなニーグリップエリアで一体感の向上&体格を選ばないライディングポジションの両立
開発PL・北村:
さらに、扱いやすさポイントとして、取り回しのしやすさの他に、フィット感と足着き時の足の動きやすさを考慮しました。スペック上のシート高自体は変わりませんが、シートと燃料タンクのつなぎ目の形状をスリム化し、ライダーが足をすっと下ろしやすくしました。これは乗り比べていただくと変わったなと思っていただけると思います。
そして、乗っているときの車体とライダーの一体感も考慮して、タンクのニーグリップエリアからサイドカバーをなるべく段差がなくフラットな形状としています。
また、ライディングポジションも変更しています。大柄なお客さまが乗ったときに膝回りが窮屈にならないようにフットポイントを10mm下げました。これにより、幅広い体格のお客さまに快適に乗っていただけるようになっています。
CP2エンジンに電子制御スロットルを搭載したことで、トラクションコントロールシステムを装備していますので、これも走行時の扱いやすさや安心感に繋がっていると思います。
数え切れないこだわりポイント
開発PL・北村:
点数を数えてないので正確とは言えませんが、構成部品の約8割を替えた実感があります。新しい機能や装備が詰まっているので全部と言ってもいいかもしれません(笑)
その他の進化ポイントとしては、Y-Connectなどのスマートフォンアプリとの連携機能付きで、視認性に配慮した5インチTFTディスプレイを装備しています。併せてハンドルスイッチもMT-09と同様の新世代のスイッチを搭載し、操作性も向上しています。
さらに、バイク専用ナビアプリGarmin StreetCrossに対応しており、スマートフォンにインストールして車両とペアリングするとディスプレイにナビゲーションを表示する機能も備えているんです。快適に目的地まで走行することができますよ。
そして、ヤマハ独自技術である、鍛造ホイールに匹敵する強度と粘り強さのバランスが整ったスピンフォージドホイールをCP2エンジンのモデルで初採用しました。軽量化にもしっかり貢献していて、2021年モデルと比べ、前後輪で約500g軽くなっています。そして、さりげなくフロントホイールにはスピンフォージドホイールをアピールするステッカーが貼られています。また、チェーン径を変えて、取り回しが軽くなるような工夫もしているんです。
新しいライディングの楽しさに利便性をプラスした新世代の変速機構"Y-AMT"
開発・北村:
2025年モデルMT-07はライディングの楽しさをもっと知って欲しいとお伝えしましたが、利便性や快適性も追加したいということで、新世代の変速機構"Y-AMT"を搭載したモデルを、MT-09に次いで、新しくラインナップに加えました
左のスイッチボックスに付いているシーソー式シフトレバーでシフトチェンジするMTモードでは、ぜひ走りの楽しさを味わってもらいたいです。Y-AMTモデルは重量増を約4kgにおさえ、ハンドリングのキャラクターをスタンダードのMT-07モデルと変えずに、走りを楽しめることを狙いました。シフトチェンジを手元のレバーにすることで足がシフト操作から解放され、そこで生まれる余裕をスロットルワークとステップワークに集中でき、純度の高いスポーツライディングを体験できる、いわゆる没入感を味わっていただけたらと思います。
一方ATモードは、「D」と「D+」から選択でき、コミューティングやロングツーリング、ちょっとしたワインディングを流すペースでもオートマチックで変速し気持ちよく走れます。Y-AMTモデルを選ぶお客さまは、冒険心があっていつもより遠出したいというマインドをお持ちだと思いますので、クルーズコントロールを搭載しています。クルーズコントロールは3速から設定することができます。
さらに、Y-AMTとも連動しますので、シフトアップ&シフトダウンも自動で行います。
マニュアル車同等のダイレクト感が味わえるY-AMT
開発・北村:
Y-AMTを通じて、大型バイクのエントリーユーザーを始め幅広い層のお客さまに新しいライディングの楽しさを知って欲しいと考えています。MT-07に搭載されているY-AMTは、バイクの有段トランスミッションのフィーリングを損なうことなくライダーにワクワク感を提供するため、シフトチェンジがライディングの感動体験を感じられるような作り込みをしているので、実はあえてシームレスなシフトフィールというわけではないんです。
数多くのバイクに乗ってこられたお客さまは共感いただけると思うのですが、自分が今どの回転数で何段のギアを使っていて、その回転数でスロットルを開けたらどれぐらい加速するのかなっていうのを考えながら走るのが、モーターサイクルの醍醐味の一つだと思います。
MT-07 Y-AMTは、何も考えずにスロットルを開けておけばいいといったものではなく、マニュアル車同等のシフトチェンジのダイレクト感が味わえるような走行フィールを味わえるようにしています。
MT-09 Y-AMTと大きく異なる点が、MT-07 Y-AMTはメインスイッチを入れると、幅広いシーンに対応できるYRCモードの「D」モードから始まります。特に低速走行を使用することの多い、通勤通学などの街乗りでの使用に最適なセッティングになっています。
加えて、俊敏性も確保していて、特に低速走行を使用することの多い、通勤通学などの街乗りでの使用に最適なセッティングになっています。発進や停車の繰り返しといった街乗り特有のシーンで最適なクラッチワークやシフト動作をしてくれるんです。
また、欧州で聞くMT09 Y-AMTコメントですと、街乗りでは停車直前に自動で1速に落としてくれる機能や、信号待ちからの発進に関してとてもよいと評価をいただいています。
MT-07 Y-AMTはより発進特性などを含めた街乗り部分の気持ちよさをブラッシュアップしています。
ATモードは、コミューティングの使用を視野に入れて開発していますが、MTモードはスタンダードモデルと同様にスポーツライディングを楽しめる仕様になっていますので、その二面性を味わってもらいたいですね。
実は、最初の企画段階でY-AMT自体も、スポーツバイクにATを載せるのはどうなのかという声もあったんです。ですが、最初にできた試作車に乗ってみると、「これは世界が広がるね!」と開発メンバー全員が理解し、Y-AMTでスポーツ走行が楽しめて、ATモードはコミューティングやツーリングでの快適性が向上するという意識に切り替わりました。
妥協なき車体開発を支えた実験ライダーの苦労
開発・北村:
乗り味に関しては、お客さまのあらゆる使い方に対応して最適解を見つけるために、要求水準をとても高く設定しました。テストライダーとY-AMT開発担当者は、何度も車両に乗り大変だったと思います。
特にシフトショック軽減の調整が難しくて、スタンダードとY-AMT搭載車を同時並行して、走行テストを何度も繰り返し行いました。というのも、MT-07に搭載しているCP2エンジンは2気筒なので、そのままだとシフトショックが大きいからなんです。自分で操作をしていないので、ちょっとした変化でもお客さまの違和感に繋がってしまいます。
テストライダーとY-AMT開発担当者は、最適解を探し出すために誰よりも早くコースに行き、誰よりも遅くコースから帰る日々を過ごしました。走行フィーリング向上のために、ディスカッション・修正・フィードバックを繰り返し行い、最終的に満足できるモデルに作り込むことができました。
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いかがでしょうか?
2025年モデルMT-07/MT-07 Y-AMTは2月26日発売です。
開発陣のこだわりポイントをぜひ、店頭でご覧ください。
それではまた。
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- 2025年2月25日