走りの楽しさはそのままに便利な機能をアップデート! 熟成した2025年モデルXMAXの開発ポイントをご紹介します
- 2025年4月4日
走りの楽しさはそのままに便利な機能をアップデートしたXMAXを4月14日に発売します。
電動スクリーンの搭載や軽量マフラーの装備、USB Type-C端子対応ソケットの採用などにより、利便性を高め、快適にスポーツ走行を楽しめるモデルに進化しました。
今回は熟成した2025年モデルXMAXのこだわりポイントや開発秘話などを商品企画・開発担当者に聞きましたのでご紹介します。
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2025年モデルXMAX
開発プロジェクトリーダー: SC設計部 藤原 祐(中央)
2017年モデル実験プロジェクトチーフ:梅谷 利明(右)
商品企画:GB統括部企画推進部コミューターG 河合 元輝(左)
エレガントなスタイリングとダイナミックな走行性を両立
商品企画:河合
MAXシリーズは、ワクワクする走りの楽しさを提供し、お客さまの気持ちを昂らせ、チャレンジする気持ちを後押しできるようなダイナミックな走行性とエレガントなスタイリングを両立したモデルです。MAXシリーズの共通のテーマとして"Maximize the Moment"を掲げています。これは、日常の通勤・通学といった"日々の移動も走る楽しみに変える"ことを目的にしています。
あらゆる場面でアグレッシブな走りの楽しさを体感できて、お客さまの一瞬一瞬の輝くシーンを最大化したいという思いがMAXシリーズには込められているんです。
2025年モデルXMAXは、お客さまの期待を超えるプレミアムなモデルとすべく、3つの軸を大切にしています。1つ目はMAXシリーズでしか体験できないような颯爽と街中を切り裂くアグレッシブなライディング体験を提供すること。2つ目は、MAXシリーズに乗っているお客さまの所有感や満足感を満たせるスタイリングであること。そして、3つ目がスクーターとして快適な機能を装備して便利で手軽さを満たしていることです。
デザインに関しては、先日のブログでデザイナーが説明していますので、こちらをご覧ください。
「変わっていない」が最大の誉め言葉!? 凝縮されたスタイリングに便利な機能が調和した2025年モデルXMAXのデザインをご紹介します
「本物・上質・実力・便利」
4つの強みを盛り込んだ2023年モデルをブラッシュアップ
2025年モデルXMAXは、先ほど述べたMAXブランドを継承し、本物・上質・実力・便利という4つのキーワードを盛り込んだ2023年モデルをブラッシュアップすることを目指しました。MAXシリーズとしての上質感や先進機能、ギア付きスポーツバイクに劣らない運動性やデザイン性といった、XMAXがお客さまからしっかり評価されてきた部分はそのままに、日々の移動を楽しいものに変えるための進化を随所に盛り込みました。
具体的には電動スクリーンやUSB Type-C端子対応ソケットの採用、車体デザインとの一体感を高めたディスプレイ、マフラー形状の変更、それらに伴うスタイリングの刷新などです。
このアップデートが2025年モデルXMAXのレベルを引き上げ、元々持っているアグレッシブなスポーティさに加えて利便性、所有感がさらに向上しました。走りが楽しいスポーツスクーターに、利便性の高い機能をバージョンアップしたことで熟成が進み、更なる高みに到達できたと考えています。
走りの楽しさを追い求め、継承・進化を果たした2025年モデル
開発PL:藤原
先ほど、商品企画で述べましたが、MAXシリーズは走りの楽しさを長年追い求め、進化させてきました。XMAXの系譜をご説明すると、元々マジェスティ250をベースに欧州で開発された、スタイリングや走りも含めて楽しめるというコンセプトのモデルです。欧州発祥で3代続いていたモデルを、2017年に日本で開発し、フルモデルチェンジをしました。これを我々は4代目と呼んでいます。この4代目が今日まで続くXMAXのベースとなっていて、今も引き続きワクワクするような走りの楽しさを追い求めて日々開発を進めています。
2023年に発売された5代目から今回の2025年モデルで進化したポイントは電動スクリーンの採用と、環境適合したマフラーのスタイリング変更などです。それ以外の部分は基本的には2023年モデルを踏襲して開発をしています。
エンジン、フレーム、フロントサスペンションなどのプラットフォームは大きく変更せずに、2025年モデルを造り込んでいるんです。エンジンはBLUE CORE思想に基づいて、ロスが少なく振動も感じにくい加速性能と環境性能を併せ持ち、さらに、トラクションコントロールシステムを搭載し、走行安定性にも配慮しています。フロントサスペンションは強度・剛性バランスに優れたモーターサイクルタイプのフロントフォークを採用しています。インナーチューブからハンドルクラウンまで貫通するモーターサイクルタイプにすることで、軽快なハンドリングを実現しています。
視認性に配慮したLCD・TFTディスプレイなどの便利機能
また、LCDのバックライトは、2023年モデルの導光板タイプからバックライトモジュールに変更していて、LCDの輝度をTFTと同等レベルにしているんです。TFTとLCDをスモークレンズで1枚にまとめることで、一体感のあるクリーンなデザインとしました。
ディスプレイの外郭は塗装のトリムで囲み、ブラックのコントラストでメリハリをもたせました。ディスプレイの表示項目は変わっていませんが、フラッシャーなど各インジケータは、コンパクトでシンプルにしています。
スマートフォンホルダーなどを付けなくても、ディスプレイにナビゲーションを表示できるので、快適に目的地までの走行をサポートしてくれます。
特筆すべきは、製造年度に応じたマップを無料でダウンロードできるところです※。
※マップデータは入荷時期によって地図データの年度が前後する可能性があります。ご了承ください。
※最新の地図データが必要な場合は、買切制の有料サービスを利用する必要があります。
※アプリのダウンロードや利用には別途通信料がかかります。
さらに、2023年モデルは左のリッドにDCソケットを装備していましたが、2025年モデルからUSB Type-C端子対応ソケットに変更して充電機能を刷新しました。
他にも、専用のグリップウォーマーを別売りアクセサリーとして用意しています。装着すると、ディスプレイに温度調整を表示させることができて、ハンドルスイッチで設定を変更できる便利な仕様になっているんです。
MT-09やXSR900のようにディスプレイ内で操作できる便利機能をXMAXにも搭載しました。
さらに、2025年モデルXMAXは専用のシートヒーターも開発しています。(国内発売予定)こちらも、ディスプレイで温度調整が可能になっています。
・グリップウォーマーの情報はこちらから
可動域が100mmに広がり、利便性が高まった電動スクリーン
2025年モデルは可動域が100mmの電動スクリーンを導入しました。実は、簡単そうに見えて、電動スクリーンの導入はとても苦労したんです。2023年モデルがベースですが、もともとコンパクトにデザインされていることもあってスペースを確保することが難しく、スタイリングとの兼ね合いも含めて悩みながら造り込んだ部分なんです。
フロント周りはヘッドランプ上のカバー形状を変えて、バッテリーを右側リッドに移動して電動モーターなどのスペースを確保しました。デザイナーと一緒になって、2023年モデルのフロントからリアへ流れるような一体感あるスタイリングを守りつつ、スリムに収めることを実現しました。
苦労話は前回のXMAXデザインで説明があったと思いますが、ヘッドランプの上のカバーを変えるだけで電動スクリーンを搭載し、違和感のないフロントフェイスを造り込むことにとても苦労しました。ボルトの隠しカバーをどう装着するか、ステーの構成パーツをどう見せるかについては、デザイナーとさまざまな議論をして決定したんです。
軽量化に寄与するマフラー形状の変更
開発:藤原
マフラーの形状変更は、今の形になるまで何度もデザイナーと話し合い、全体的なスタイリングを含めて試行錯誤して最終的なデザインを決定しました。実は、マフラーの形状を変えるのはとてもチャレンジングだったんです。
元々造り込んでいた原動機に対してマフラーを変更すると、振動や騒音の出方も変わってきていしまいます。そのため、リアアームも含めて、エンジンや強度の担当者とともに最適な形状を議論していきました。
そして、最終的に2023年モデルのマフラーと比較して約800gの軽量化を実現しています。
開発:梅谷
基本的には4代目と呼んでいる2017年モデルから2025年モデルまで、カバーの内側に入っているものは同じスペックになっています。2025年モデルXMAXは排ガス規制などのレギュレーション対応や先進機能搭載に合わせたリセッティングなどを施して、アグレッシブな走りの楽しさや、上質なスタイリングに磨きをかけて、熟成させてきたモデルです。
ベースとなった2017年モデルの開発に携わったときに、剛性バランスの取り方には非常に悩みました。モーターサイクル同等の高剛性フロントサスペンションや、当時完全新作の高性能BLUE COREエンジンに負けない車体を作るために、車体の剛性バランスの造り込みに試行錯誤した思い出があります。
MAXシリーズ全てを担当させてもらった者として、MAXを冠するモデルに共通したモノを持たせて、TMAX、XMAX、NMAXのどれに乗っても走りが楽しいMAXシリーズだと思ってもらえるような味付けを出さないといけないと自己解釈をしまして、それを常にイメージして造り込んできました。
参考にしたのが、TMAXの剛性の造り込みだったんです。車体とエンジンのバランスを考えたときに、ちょっとだけエンジンの存在感が強い車体を作ることがキーポイントでした。エンジンから放たれるパワーが前へ前へと押し出されるように進むイメージがMAXらしさで、それがスポーティさでありアグレッシブさであり、つい走りたくなるフィーリングだと考えています。
「なんて楽しいバイクなんだ!」と思ってもらえるように
開発:梅谷
XMAXはTMAXとNMAXの中間という立ち位置のモデルなので、スポーティさと利便性の2つは、どうしてもMAXファミリーの中で最も高次元で両立したかったのです。
そして、日常生活の中でも走りの楽しさを見出せる、バランスの取れたものにしたいという考えもありました。
そこで、2017年モデルのプロジェクトチーフをしていた時に、トータルパッケージとして誰が乗っても安定していると感じられる車体にしたいと開発メンバーにリクエストしました。走行の安定性無くして走りの楽しさは生まれないという持論と、これまでのMAXシリーズで大切にしてきた部分だったからです。
走行安定性を徹底的に磨き上げて、エンジンのアグレッシブさをしっかり伝えられるようなハンドリングにしたいと開発メンバーに方向性を共有しました。走っていて楽しいと感じる、人それぞれのフィーリングをどう合わせるかの作業に注力したんです。
ヤマハのテストコースで、一般道のとあるシチュエーションを自分の中で定めたポイントとなるコーナーに置き換えて実験ライダーと一緒に走りながら、この車速で、このバンク角で入ったときにどう感じるかといった細かいシーンごとに議論して、バイクがより楽しく走るためのシチュエーションについていろいろすり合わせをしました。
実際にお客さまが使われるステージで確認したときも、「なんて楽しいバイクなんだ!」と思ってもらえるようなオーダーを開発メンバーに出し続けました。
開発:藤原
その要望を何度も繰り返しトライした記憶が強いですね。一番こだわり続けたのはパワフルになったエンジンの振動を吸収するためのリンク(ラバーマウント)やフレームなど、剛性の部分なんです。この剛性をどう出していくのかをずっと造り込んでいました。単にラバーマウントを替えればいいという話ではなく、フレームのちょっとした穴の大きさだとか、マウント構成部品の板厚や材質でシビアに変化するので、とても苦労しました。
開発:梅谷
フレームとか、それらをつかさどるものの剛性を全部上げていくと、基本的には重量が重くなりますから、軽量・スリム・コンパクトを維持する戦いでもありました。車両全体とセクションごとに重量目標が細かく設定されているので、それを両立させるためには材質や形状を工夫し、ここは剛性をしっかり出すが、あえてここは抜くとかを調整しました。剛性バランスは解析でも見られますし、実際に計測してみることもできますが、やっぱり人間が乗るものなので、「乗って楽しい」剛性バランスの最適解を導くには、最終的にはフィーリングの部分が一番大切だったんです。
「乗って楽しい」を言葉や数値だけで説明をするのはとても難しく、エモーショナルな部分なんですが、ヤマハはお客さまが実際に乗って分かる感覚的なところも重要視してバイク造りをしているんです。
開発:藤原
我々が最初に手がけた4代目と呼んでいる2017年モデルも、そういったチャレンジがあったんです。さらに造り込んだ2023年モデルの5代目、そして質感や利便性をアップデートした今回の2025年モデルに繋がっていると思います。非常に剛性バランスに気を付けて造り込んでいるので、軽快で、倒しても快適に走行できますし、TMAXと乗り比べしても、しっかりとついて行けるので、走っていて楽しいです。街乗りだとキビキビとした走りで快適ですし、足つきも悪くない、そして収納もしっかり備えています。
日常でもツーリングでもバランスの優れたモデルで、今回さらに熟成が進みました。
注目してほしいポイント①
小柄な人でも扱いやすいハンドルポジションの変更
開発:藤原
2017年モデルからハンドル位置の前後変更は可能でしたが、2025年モデルでは工場出荷時の位置を手前側に変更しています。ハンドルバーを一本分(約20mm)従来より手前にし、小柄な体格のライダーにも扱いやすいポジションを初期位置としています。これに伴って、ハンドルポジションも変更しているんです。2017年モデルもハンドル位置は変更できますが、2025年モデルから、初期位置を手前側に変更しています。
注目してほしいポイント②
情報端末ケーブルなどを保護する細かい配慮
開発:梅谷
こちらは従来モデルからの取り組みでしたが、もう一度ご紹介させてください。スマートフォンなどのデバイスを電源供給しながらハンドルバーなどに固定して使用したいお客さまを想定して、フロント左側の小物入れの蓋にコードを通せる切れ込みが入っているんです。
充電コードを痛めず、かつ振動で動きにくくする工夫をしています。防水性も考慮して、コードを通しても蓋は隙間なくしっかり閉まるように設計していますので、用途に合わせてぜひ活用してみてください。
小物入れの中も充電コードをつけたまま大抵のスマートフォンが入るスペースを確保しています。※
※すべてのスマートフォンの充電や収納に対応するわけではありません。
注目してほしいポイント③
ボルト一本までこだわった細部の造り込み
開発:梅谷
実は、全てのボルトの色まで指示して造り込んでいるんです。ディスプレイに映り込むような箇所のボルトは全てブラックアウトして、なるべく反射を抑える工夫をしています。シルバーのボルトだと、黒いパーツに対してボルトが浮いて見えて引き締まった感じが削がれてしまうので、マットブラックのボルトを採用しました。中にはヤマハのボルト規格の中で適合色がないものもあったので、専用パーツとして造ったものもあるんですよ。
注目してほしいポイント④
シート下トランク内部に、なるべく熱がこもらない工夫
これも従来モデルからですが、マフラーとリアカウル下の隙間に熱を逃がす穴を設けています。マフラーやエンジンの熱は上にのぼってくるので、そこで熱が滞留してしまうと、シート下トランク内部の温度が上がってしまうんです。
お客さまの大切なお荷物に迷惑をお掛けしないための隠れた工夫なんです。 注目してほしいポイント⑤
人の目に付かないところのこだわり
開発:藤原
写真中央、ボルト取付部に四角く穴が開いています。ここにそのままフットレストカバーを載せると、経年変化で凹んできてしまう可能性があります。これを防ぎながら、かつ足裏にボルトの頭が当たることもないような凸形状をカバーに施しています。このように、パッと見て気付かない箇所にもいろいろとこだわっているんです。
2025年モデルは、細かいところまで造り込んだ2017年モデルから熟成した2023モデルを継承して、利便性をさらに高めたモデルです。楽しくて思わず走り出したくなるアグレッシブな走行性はそのままに、さらに便利にアップデートを施し、日常や週末のツーリングなどでの使い勝手とバランスがとれたスポーツスクーターとして進化しました。
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いかがだったでしょうか。電動スクリーンや新型ディスプレイ、軽量マフラーなどにより、利便性の高さと、街中やツーリングなどで走っていて楽しいと思わせる走行性を両立させた2025年モデルXMAXは4月14日発売です。
ぜひ店頭や現在開催中のモーターサイクルショーで実車を確認いただけたら嬉しいです。
さらに、YSPの専用サイトからは各店の試乗車や展示車を確認いただけます。
それではまた。
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