シンプルでいて味わい深く、実用性も高い! さらに隠し要素も!? 原付二種ファッションスクーター「Fazzio」デザイン担当者のこだわりを紹介
- 2026年3月12日
こんにちは。ヤマハ発動機販売 山田です。
昨年のモーターサイクルショーで反響を呼んだ原付二種ファッションスクーター「Fazzio」(ファツィオ)が、いよいよ日本で発売されます!
シンプルながら飽きがこないスタイルと使いやすい機能性にこだわり、エンジンにはパワーアシスト機能のあるモーターを採用。インドネシアで発売されて以来、大人気のモデルFazzioの目玉の一つは、今までのスクーターと一味違うスタイリッシュな外観ですが、このデザインはどのようにして生まれたのか? デザイン担当者に聞きましたので、ご紹介します。

「Fazzio」デザイン担当のみなさん(写真左から)
デザイン企画:プロダクトデザイン部 久保田 葉子
デザイナー:プロダクトデザイン部 吉川 友章
CMFGデザイナー:株式会社GKダイナミックス 永井 智さん
CMFG企画:プロダクトデザイン部 山北 里奈
「Hello, Simple」をキーワードに、おしゃれも実用性も重視

デザイン企画:久保田
モデルコンセプトは「Simple & Casual Mover as a Lifestyle-wear」。スマートフォンのようにクリーンなシンプルさで、いつも傍らにいる存在。シンプルだからこそ、ライフスタイルをより豊かに拡張できる余白をもったガジェット的なスクーターを目指しました。
デザインコンセプトは「Hello, Simple」です。シンプルさを突き詰めるからこそ存在感があり、多様化するファッション性に変化していくことができる、余白価値の提供ができるのではないか。そこまで含めてデザインに取り組みました。
日本向けのファッションスクーターとしてはVINOがありましたが、これまでのヤマハのスクーターにはない新しいファッション性を模索するため、お客様調査を行いました。
今回主役として想定したのは、性別を問わず20代の方々です。スマートフォンやSNSを日常的に使いこなし、誠実でリラックスした振る舞いを自然体で楽しむ価値観を持ちながら、おしゃれさと実用性のどちらも妥協したくない――そんな合理的なファッション性を求めるお客様に向けて開発しています。

デザイン企画:久保田
デザインを始める前に留意したのは、求められる実用性と意匠をつなげるということです。「日常使いでの信頼性」「雑多な交通での快適性」「多様な機能性」という3つの実用性から考察し、具体的なデザイン要素をアウトプットしました。
お客様が街やメディア等を通してFazzioを見た時に、オシャレなだけではなく「これは乗りやすそう」と思ってもらえるようなデザインをしたいという思いが元となっています。
デザインのポイントは、品のある、きちんとした佇まいでありながら、
どこか親しみやすさを感じられることです。通勤・通学はもちろん、ショッピングや遊びのシーンでも様になる、幅広く着回せるシンプルでスタンダードなスタイルとしました。
ヤマハファッションスクーターに共通する"しんにょう"などのアイコンを踏襲

※この画像は開発時のデータのため、製品版および日本仕様と一部異なる場合があります。
デザイナー:吉川
シンプルかつアイコニックなピクトグラム(情報を伝えるための絵文字)をヒントに、"普遍的だけどユニークなシルエット"という考え方がブレイクスルーとなりました。そのユニークさは実用性を追求した結果から生まれていまして、永く愛される価値を持ったロングライフデザインにつなげていくことを目標にしています。
Fazzioにおける実用性は、街中を快適に移動するために不要な張り出しのないエクステリア、居住性と積載性を第一に考えたインテリア。こうしたレイアウトを基に、サイドビューでの一筆書きのようなピクトグラムというアイコニックな要素を構築していきました。
こうして生まれたアイコンなんですけれども、実はこれまでのヤマハファッションスクーターには、漢字の「しんにょう」のように前から後ろへ流れるようなスタイリングが共通アイコンとして、脈々と受け継がれています。

※バーティカルアイコン
※この画像は開発時のデータのため、製品版および日本仕様と一部異なる場合があります。

※「センターコアストラクチャー」
※この画像は開発時のデータのため、製品版および日本仕様と一部異なる場合があります。
デザイナー:吉川
他にもフロントビューの垂直的な「バーティカルアイコン」は、ヤマハ歴代ファッションスクーターの継承要素になっています。
また、車両上側から見てセンターに機能を集約して"車体骨格の芯"を表現した「センターコアストラクチャー」など、様々な視点でヤマハデザインの文脈を深めています。
シンプルながら表情が「豊か」、様々なバランスに苦心

デザイナー:吉川
立体造形の表情においてもクレイモデラーやデジタルモデラーと密に対話をしながら、熟成させていきました。
中でもサーフェイス、面と呼ばれる部分は、非常にシンプルな造形でありながら、実はよく見ると陶器のように豊かな表情や美しいツヤが現れます。磨いて綺麗にコーティングして、という日常の相棒を愛でることが非常に楽しいと思います。
デザイン企画:久保田
「シンプル」と言うと"簡素"と思われがちですけれども、見応えをつくりたかったんです。例えば前から見た時に"ツルン"とした所と"パキッ"とした所を組み合わせて、表情の豊かさみたいな部分を味わいにしています。シンプルだからこそ、どこにでも馴染んで、存在感がある表現になったかなと思っています。
ただし存在感の主張が強すぎても弱すぎてもいけない。品があるけど親しみがあって、ファッション性も実用性も遊び心もある。こうした様々なバランスを取るのが、難しいポイントでしたね。
各部をオーバルで統一、どこに隠れているか発見する楽しみがある

デザイナー:吉川
Fazzioでは、様々な角度や距離で一目でFazzioとわかるアイコニックな表現を取り入れています。オーバル形状(楕円形)をディテール表現のメインテーマにしていて、灯火器類やメーターほか各部を同じテーマに統一することで、"シンプルだからこそしっかり世界観に浸れる" ことを心がけました。
見ていただくと、オーバルが色々な所に隠れていて、発見する楽しさがあります。こういった細部の世界観を徹底的に作り込むことで、購入した後に永く楽しみながら愛せるロングライフなデザインを目指しました。

デザイナー:吉川
タンデムステップは他モデルからの流用品なのですが、ボディの世界観に合わせるため、付け根にオーバルがきれいに繋がるように面を揃えています。他にもバックミラーの台座形状や、ボルトを留めるボディ側の凹みなど、至る所にオーバルがあります(笑)。
デザイナー:吉川
他にもこだわったのは、ハンドルマウントのヘッドランプです。ハンドルマウントか、ボディマウントかによって造形の印象が全く違いますし、ヘッドランプの照射範囲も変わってきます。ハンドルマウントだと、人が乗った状態で横から見た時に、高い位置からアゴを引いたような凛とした姿勢のシルエットに見えます。また、狭い路地で街灯がない道路でも、ハンドルマウントなら照らしたい場所に即座にハンドルを向けて照らすことがきます。
もう一つはボディサイズや軽さです。色々な体形、体格のお客様に便利に乗っていただくにはあまりボディサイズを大きくせず、軽くする必要があるため、なるべく絞りに絞りました。一方で、それを窮屈に感じさせないようリラックスした印象にするバランス取りに苦心しましたね。
デザイナー:吉川
細部では、シート下にもこだわりました。シート下にはお客様のスマートフォンと繋がるBluetooth※¹のデバイスがありますが、ただ淡白に覆うのではなく、デジタルガジェット風に角を取って"先進的なものがインストールされている"と感じられるデザインにしました。指をかけやすい燃料タンクキャップも採用しています。
また、フートスペース前側の黒い樹脂カバーの表面は意図的に中央部だけを荒い表面仕上げにしています。これは、日常でガシガシ使っても傷を極力目立たせないでオーナーと長く付き合っていただくための工夫です。
※¹ Bluetooth®はBluetooth SIG, Incの登録商標です。
お客様が一体になって完成するファッション
CMFG企画:山北
カラーラインナップは造形のコンセプトを受け、なおかつお客様が求めているものを鑑みながら検討しました。
製品そのものがファッショナブルに捉えられることが多いと思うのですが、Fazzioの場合はお客様が一体になって完成するファッションと考え、どんな色であるべきなのか考えました。
どんな服装にでも合わせられるカラーリング
CMFG企画:山北
ヤマハでは、カラー、マテリアル、フィニッシュ、グラフィックをトータルでマネジメントした「CMFG」のコンセプトを取り入れています。Fazzioのカラーに関しては、トレンドをしっかり押さえることはもちろん、どんな服装にでも簡単に合わせられるスタンダードファッションという視点も非常に重要と思っております。
マテリアル、フィニッシュに関しては、シンプルかつトレンドを押さえ、どんなものにもマッチしやすいところを大事にしました。
グラフィックは、シンプルデザインで目立ちすぎないけれども、アイコニックを表現するため、CMFGデザイナーに「F-BAR」と「F」マークを考案してもらいました。車体横のF-BARは、グラフィックと色のコンビネーションによって、アクティブさやアイコニックな表現をしています。
どのカラーラインナップをとっても、しっかり今のトレンド感を掴んで表現しています。
※CMFG:カラー・マテリアル・フィニッシュ・グラフィックの略称
グラフィックの組み合わせで、拡張性やアクティブさを表現
CMFGデザイナー:永井さん
Fazzioはサイドカバーにグラフィックの「F-BAR」が施されています。F-BARとは、ファッションの「F」、Fシリーズ※²の「F」、これにバーを組み合わせたネーミングです。
※²:海外で展開されているヤマハのファッションスクーターブランド。
国によって嗜好性は違いますが、同じ価値観をヤマハとしてどう表現するか、ファッションをどう表現するかと考え、F-BARを提案しました。
漫画やゲームのキャラクターは象徴的な色の組み合わせで構成されているため、実はシンプルに色を並べるだけで何のキャラクターか表現できてしまうんですね。同じようにFazzioのシンプルさを色やグラフィックでも表現したいなと考えました。アイコニックだし、簡単だし、何より楽しいのが良いなと感じています。
CMFGデザイナー:永井さん
「シンプルにするなら、グラフィックがなくてもいいのでは?」という話もあるとは思うんですけれど、モデルのコンセプトや考えを全体で表現する際、ボディ色だけだと"拡張性やアクティブさを表現しきれるのか?""ただの使いやすいおしゃれなバイクになってしまうのではないか?"と考えました。
相反する部分ではありますが、グラフィックに価値を見出してコンセプトを増強させるため、できるだけシンプルな図形や色、面構成で表現しています。
F-BARはオーバルや車体の動きともリンク
CMFGデザイナー:永井さん
F-BARでは、それぞれ3つのエレメントをメインに、そこに違う色を反映させることで、カラーのコンセプトを表現しています。
全体のボディカラーでは、落ち着いたトーンの基本色に、まったく違う色のグラフィックを組み合わせることで、人々の生活をアクティブに彩っていくということを表現しました。
なお、よく見るとベタ塗りではく、パターンが入っています。引いて見た時と近づいて見た時に変化があった方が面白いと考えたのです。
実は珍しいロゴマーク。一目でFazzioとわかる
CMFGデザイナー:永井さん
Fazzioにはロゴマークがついていますが、ロゴマークのあるモデルはそう多くありません。Fazzioのスタイリングコンセプトが"Hello,Simple"なので、シンプルさをキーワードとして捉えつつ、いかにシンプルにお客様とコミュニケーションするかということを第一に考えました。
そんな中、このロゴマークはうまく機能するのでは、と考えています。デザインは、FazzioのFという絵文字とオーバルをモチーフにしています。スタイリングでもオーバルのモチーフは多く使われており、一目でFazzioとわかる印象的なグラフィックデザインとしています。
デザイナーがプロモーションまで関わった珍しいモデル
デザイン企画:久保田
Fazzioのように、デザイン、造形から始まり、カラーリング、プロモーションまで、デザイナーがどんどん入り込んで遊び方のアイデアを数十種類も提案して関わるモデルは珍しいです。本当にずっと一貫して"こうしたい"という思いが、様々な部署をまたいで集約されています。今思い出すと、凄く楽しいプロジェクトだったなと思いますね。
デザイナー:吉川
お客様には、購入後に洗車して車体を撫でる時に「こだわって造られたプロダクトを持つ嬉しさ」を感じてほしいです。ヤマハ国内モデルのファッションスクーターはVINOがありましたが、今回のFazzioはその役割を受け継ぎつつ、さらに広げるものになっていってほしいなと願っています。
CMFG企画:山北
全体としてしっかりトレンドを押さえ、様々なお客様のスタイルに合わせられるのがFazzioの魅力です。好きな自分を表現できる色を選んでいただきたいなと思います。
CMFGデザイナー:永井さん
色も形もこだわりぬいて作ったモデルになりますので、ぜひ店頭でご覧いただければと思います。私のお気に入りのカラーはグリーンです。パンデミックから解放され、"平穏に暮らしていきたい、でもアクティブに過ごしたい"そんな気持ちを上手く表現できているのではないかなと思っています。
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いかがだったでしょうか!?
各デザイン担当者のこだわりを満載した「Fazzio」。ぜひ実車をご覧いただき、その質感や細部、各カラーとグラフィック、どこにオーバルモチーフが隠されているのか、そして足着き性や座り心地等々、体感いただきたいです。
それではまた。
- 2026年3月12日








