日常的な使いやすさにこだわり、パワーアシスト機能やStop & Start Systemなどの便利機能も満載! 125ccクラス新作スクーター「Fazzio」の開発秘話を聞きました
- 2026年3月10日
こんにちは。ヤマハ発動機販売 山田です。
話題の125ccクラスのファッションスクーター「Fazzio」(ファツィオ)が、ついにデビュー! スタイリッシュなデザインに加え、抜群の使いやすさと実用性が大きな魅力です。2022年にインドネシアで発売されて以来、大人気のモデルで、ついに日本にも上陸しました。商品企画および開発チームに、こだわりや苦労したポイントについて聞いたのでご紹介します。

「Fazzio」商品企画&開発チームのみなさん
・プロジェクトリーダー(PL):CV開発部 竹迫和平(写真中央)
・電装系 設計開発:システム開発部 福田一浩(写真左から1人目)
・商品企画:商品戦略部 杉本慎太郎(写真左から2人目)
・EG実験:第1PT実験部 金山直史(写真左から4人目)
・電装系 設計開発:システム開発部 秋元雄介(写真左から5人目)
※本記事に掲載している担当者情報は、インタビュー当時の所属および役職です。現在とは異なる場合があります。
ライダーがよりスタイリッシュに見えるスクーターとして提案

商品企画:杉本
Fazzioは元々アセアン向けに企画されたモデルです。
アセアンの注力領域の一つにMAXシリーズなどがありますが、Fazzioはファッション系スクーターの「Fシリーズ」という位置付けです。中でもFazzioはエントリー向けモデルとなります。
このモデルを所有することで、自分がよりスタイリッシュに見えることを提供価値としています。こうした価値を、アセアンだけではなく日本市場にも提供していきたいと考えています。
モデルコンセプトは「Simple & Casual Mover as a Lifestyle-wear」。普段着のように乗れるけどファッション性が高く、ライダーのファッションともコーディネートしやすいモデルとして企画が進んでいきました。
ターゲットカスタマーの重視する項目としては、実用性と経済性、ファッション性の両立などを想定。Rational(合理的)であり、なおかつEmotional(感情的)といった両面を求めるお客様の心をつかみ、長く愛されるモデルとしています。
特にポイントとなるのが「ライスタイルに合う」ところです。ベースはシンプルですが、ユニークさがあって、ファッション性もある。加えて、自分の個性にあったカスタマイズがしやすいといったところで、他モデルと差別化しています。
お客様にはFazzioをホワイトキャンバスとして捉えていただき、ボディを自由にアレンジできる余白を残しています。
時代は「一人十色」、125ccクラスにもファッションスクーターを

商品企画:杉本
日本導入に至った背景には、原付一種(50cc以下)の販売台数減少や生産終了もあります。
原付一種は年々販売台数を減らしている上に、排ガス規制の影響により50ccバイクは2025年11月以降生産できなくなってしまいました。一方、原付二種(51~125cc)は販売台数が伸長傾向にあります。
ヤマハとしても125ccクラスのスクーターにCYGNUS GRYPHUS、NMAX、TRICITYなど充実のラインナップを展開していますが、50ccクラスのVinoのようなファッション系が存在しません。Fazzioは、Vinoが販売できなくなった後の受け皿を担うモデルと考えています。
また、若者のライフスタイルの変化もポイントです。一つのトレンドをみんなが追うのではなく、シーンに合わせ、それぞれの個性に合わせたスタイルを上手にコーディネートしていく「一人十色」の時代になっていると考えます。この流れは、日本のみならず世界的に浸透しており、Fazzioのシンプルかつ自分のライフスタイルを表現できるというコンセプトと、今の日本市場における若者の価値観がマッチしていることが導入の決め手となりました。
アセアン市場は、現地のトレンドというよりグローバルなトレンドを追っているので、Fazzioも最先端のトレンドをデザインしています。そのため地域による垣根は特にないと認識しています。
車重が軽く、乗車姿勢もラク、日常的な使いやすさを追求

PL:竹迫
Fazzioの開発にあたっては「日常的な使いやすさ」を重視しました。杉本の話にも出てきましたが、長く愛されるためには、きちんと実用性を追求することが大事です。デザイン的なシンプルさはもちろん、余裕のある乗車姿勢や広いフートスペースを追求しています。

PL:竹迫
アセアン向けのモデルは前傾気味だったり、ハンドル幅が狭かったりする場合も多かったのですが、Fazzioはアップライトで余裕のある乗車姿勢に仕上げています。なおかつフートスペースを広くしています。一番短いセンター部の前後長でも235mmを確保することで足元の自由度が高く、カバンなどを置きやすくなるよう、なるべく広いスペースを取りました。
軽さにもこだわっています。車重は、ヤマハの原付二種スクーター最軽量のJOG125(95kg)に次ぐ97kgなので、押し歩きが楽です。また、小型のスクーターとはいえ、12インチの少しハイトがあるタイヤを履くことで乗り味も快適な方向に仕上げています。

PL:竹迫
収納性も高く、19.1L容量のシート下トランク、USB Type-A端子に対応した充電ソケットを備えたフタ付きフロントポケット(左)、オープン型ポケット(右)も用意しています。
さらに先進性として、スマートフォン連携機能のY-Connectや、スマートキー、LEDの灯火器類を採用したほか、従来ではあまりない縦型メーターも導入しています。
実用性や経済性、先進フィーチャーを備え、自分のライフスタイルを表現できる。そのために長く使っていただける機能性を造り込みました。
発進時に効果を発揮するパワーアシスト機能を搭載

PL:竹迫
エンジンはAXIS Zをベースにした124cc空冷4ストロークの"BLUE CORE"です。Smart Motor Generator System、Stop & Start Systemを組み合わせ、燃費や静かな始動などエコを感じさせる機能が充実しています。
さらに、発進時にスロットルを大きく開けた際、最大約3秒間、スタータージェネレーター(発電機)のモーターで駆動力をアシストする「パワーアシスト」を追加しています。
電装系 設計開発:秋元
日本国内でのパワーアシスト搭載車はFazzioが初めてです。このクラスの空冷エンジン採用のスクーターは、NMAXなどのスポーツスクーターと比較するとちょっと非力に感じる場面もありますが、そういった時に少しアシストしてあげることでよりスムーズに発進できる効果を狙っています。
劇的な効果というよりはプラスアルファといった感じで、2人乗りでフラつきにくかったり、坂道発進がスムーズになったり、といった効果が期待できます。

※パワーアシストの効果を比較したイメージ図
車両実験:金山
例えばゼロ発進でスロットルを全開にした際、アシストの有無によって30m地点で半車身~1車身程度の差が出ます。アシストの出方と収束の仕方にもこだわりまして、パワーが急に出たり止まったりすることがないよう、当初から造り込んでいます。
もちろんスロットルを大きく開けないと作動しません。お客様がある程度「走りたい」というスロットル操作をした時にのみ作動します。
電装系 設計開発:秋元
このクラスのエンジンではジェネレーターの大きさに制限がありますが、その中では最大の効果を狙っています。また、モーターでのアシストとなると高額なリチウムバッテリーを搭載しがちですが、あえて一般的な鉛バッテリーを使うことで、お客様がお求めやすい車両価格やランニングコストを意識しています。

車両実験:金山
停車時に自動でエンジン停止/再始動を行うStop & Start Systemも、ヤマハの日本向け空冷エンジンのスクーターでは初採用になります。走り方によりますが、ストップアンドゴーが多い都市部ではかなり燃費に貢献できるかなと思います。スロットルを開けて再始動する場面では、お客様がストレスを感じないタイムラグで発進できるようにしています。
信号待ちなどでアイドリングしていると、それなりの振動はどうしても発生してしまうのですが、Stop & Start Systemで振動がなくなるのもメリットの一つですね。
電装系 設計開発:秋元
始動音が静かなスタートシステムを採用しているので、再始動の際にも毎回キュルキュルと音がせず、ストレスの少ない再始動が出来ることが特徴です。
タンク位置や外装、空冷エンジンなど全身で軽さを追求

PL:竹迫
車体に関しては軽さがポイントです。Fazzioは燃料タンクをシート下に搭載することで軽量化に貢献しています。加えて、フレーム後ろ端のスペースを活用するなどタンクの配置を工夫して、5.1Lのタンク容量を確保しつつ、19.1L容量のシート下トランクを実現しています。

PL:竹迫
ボディに関しても、外装カバーの板厚などを適切化して、なるべく軽くしました。カバーが薄すぎると成形できなかったり、強度が担保できないので、そういった細かい造り込みを皆でしていますね。
外側からは見えない部分ですが、フロントの外装カバーを軽量化しつつ、部品を保持する必要があったので、内部の金属ステーの造り込みに苦労しました。
電装系 設計開発:福田
フロントまわりのカバーは開発の最後の方までずっとやっていましたね。
車両実験:金山
軽さの面では、エンジンの影響も大きいです。97kgという車重は、軽い空冷エンジンがかなり貢献しています。エンジンは一番重い部品なので、解析段階から最適化して、軽く造り込んでいます。これにスタータージェネレーターをモーターとして使うことで、走りのよさとコストを両立しています。単純に水冷エンジンを載せるより、軽くて低コストに仕上げているのはFazzioの大きな強みです。
試行錯誤を経て、初のカラビナ型フックを導入

PL:竹迫
デザイン視点で言うと、外装カバーがシンプルな造形なので強度に苦労しました。複雑な面の方が剛性を出しやすいのですが、面がシンプルだと剛性が出せなかったり、音を拾ってしまったりします。そこで板厚を変えたり、取り付け方を工夫したりして解決しています。
足つき性については、シート形状と足を降ろした時にもも裏や足が当たる部分をデザイナーと一緒に削ったりしました。削ろうとする内側の部品をどうするかなどもやり取りしながら足つき性を造り込んでいます。
他に苦労した部分と言えば、カラビナ型フックですね。Fazzioで初めて導入した装備で、前後に配置していることと、独自形状がポイントです。従来のフロントフックはシート下だけ、もしくはレッグシールド側だけですし、形状はシンプルなカギ爪状が大部分でした。
一方、今回のカラビナ型フックは形状が独特で、前後に備えているのが特徴です。さまざまな荷物にも柔軟に対応できますし、引っ掛けるのも外すのもラクです。ただ、これがなかなか大変で(笑)。樹脂と金属を組み合わせて、どれぐらいの耐久性を持たせるのか、バネの強さをどれぐらいにすればいいのか、など使い勝手を上げるために苦労しました。
新設計メーターはデザイン性と見やすさに配慮

電装系 設計開発:福田
私の担当では、新設計のオーバル型メーターに苦労しました。この車体に合うサイズとデザインに仕上げつつ、パワーアシストのインジケーターやBluetooth※¹のアイコンなど色々と表示したい項目を明確に視覚化する必要があります。そんな中、どの部分を削って、どの部分を残すか取捨選択し、お客様ができる限り見やすいユニバーサルデザインのメーターに仕上げました。
※¹ Bluetooth®はBluetooth SIG, Incの登録商標です。

電装系 設計開発:福田
先程の話にも出ましたが、コスト面も苦労したポイントです。Stop & Start SystemやLEDの灯火器類、スマートフォンの連携機能などを搭載するにあたって、やはりトレードオフでコストがどんどん高くなってしまいます。
そこで、内部部品の共通化や車速センサ―をメーターと一体化したり、Smart Motor Generator System内部の配線を細線化するなどして、コストを抑えています。もちろん性能は同等を維持したまま、なるべくコストを下げることを全体的に意識していますね。その分、お客様がお求めやすい価格になっていると思います。
日本仕様はシート下トランクの容量を拡大、アクセサリーも装着しやすい

商品企画:杉本
日本向けとアセアン向けでは、基本的な仕様はほぼ同じですが、いくつか変更点があります。まず規制関連では、排気ガスと灯火器の規制に対応しています。加えて、シート下の収納スペースを少し大きくすることで、ワイズギア製のYJ-14 ZENITHなどのジェットヘルメットが入るようにしました。
また、日本で需要の高いグリップウォーマーを装着できる配線を追加しています。
PL:竹迫
基本的にヤマハの開発は、どの仕向地でもしっかり信頼性を確保しているので、大きな変更をせずに日本仕様とすることができます。
便利フィーチャー全部盛り、購入を考えている開発者も多い!

電装系 設計開発:秋元
このモデルは"これを持っておけば間違いない""普段使いで何一つ不自由がない"ところを狙っていて、便利なフィーチャーが全部盛りなんですね。スマートキーやUSB Type-A端子対応充電ソケット、パワーアシスト機能、スマートフォンの連携機能などを何一つ落とさずにパッケージにまとめることにこだわりました。
コストを抑えるとフィーチャーを減らしてしまいがちですが、これを死守して"お客様が毎日使うモノをより便利に"というところを非常に意識しています。
車両実験:金山
アセアン向けに開発され、日本で発売されたスクーターは今まであまりなかったのですが、Fazzioはデザインが良く、必要十分な制御や装備が揃っています。125㏄クラス空冷エンジンに久しく乗ってない人には「こんなにパワーがあるんだ。こんなに静かなんだ。こんなに燃費いいんだ。これいいね」と思っていただけるはずです。
ヤマハの開発者でも買おうと思っている人が多いほど、トータルバランスがいいバイクなので、色々な方に乗っていただけたらと思いますね。
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いかがだったでしょうか!?
「Fazzio」はデザインだけではなく、使いやすさと利便性が大きな魅力となっています。開発者の徹底したこだわりをご理解いただけたのではないでしょうか。ぜひ実車をご覧いただき、その高い機能性を直接チェックしていだければと思います。
Fazzioの発売日は4月24日です。
ご購入はお近くのヤマハバイク取扱店へお越しください!
それではまた。
- 2026年3月10日








