鋳造用語集「か行」
鋳造で用いられる専門用語を50音順で解説します。
か
用語 | 英語 | 解説 |
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外観 | appearance | 鋳物など製品を少し離して、外から見た表面の状態。 |
外観検査 | appearance inspection | 鋳物などの製品の表面を観察し、湯じわ、湯境、湯回り不良、砂落ちなどを検出すること。 |
改良処理 | modification | アルミニウムなどの合金に添加物を加えることにより、初晶シリコンなどの析出物を微細化する。改良処理のために、アルミニウムの亜共晶シリコン合金ではNaやSrを添加し、過共晶シリコン合金ではPを添加し、初晶シリコンを微細化することなどが知られている。 |
欠け込み | inside cut | アルミダイキャストなどで、鋳造後ゲートをプレスやハンマーで折る際に、製品部の方にクラックが入り、製品が欠肉すること。「身食い」ともいう。 |
加工基準 | machining datum | 機械加工の際にX、Y、Z方向の基点となる鋳物に設置された平らな面。 |
かじり | galling | 溶解した金属が金型に接触し、金属拡散することにより粘着する。その金型が開く際、型開き動作に対して、金型と凝固した金属が離れないことにより、製品や金型に傷が発生する現象。 |
ガス硬化型 | gas-curing mold | ガス硬化型には有機系と無機系があり、有機系では、コールドボックス法があり、フェノール樹脂、イソシアネート樹脂に対して、アミンガスを用いて硬化させる。無機系では、炭酸ガス法があり、水ガラスに対して、CO2ガスで硬化させる。 |
ガスベント | gas vent | 金型内の空気や中子ガスなどの気体を外部に排出する機能を持つ部品や、金型の部分。金型に溶湯が充填される際、金型内の空気が圧縮されるが、金型内の空気を抜き、溶湯をスムーズに流すために用いられる。また重力鋳造や低圧鋳造の金型では、中子からガスが発生し、ガス欠陥が発生するため、中子のガスも金型の外に排気する必要がある。(エアーベントと同じ) |
ガス漏れ警報装置 | gas leakage detector | 地下ピットや鋳造関係の設備まわりに設置し、燃焼装置や燃料ガスパイプなどから漏れた燃料用ガスや、不完全燃焼によって生じた一酸化炭素(CO)を検知して警報を発する装置。 |
ガタ | looseness | 鋳造型は高温では、金型材料の伸びにより、スライドとスライドレールの間の隙間が少ない場合には、スライドなどがかじって動かなくなる場合があるが、その現象を防ぐためにつけるクリアランスのこと。 |
型締シリンダー | clamping cylinder | 鋳造機に取り付けられた金型を開閉するために用いるシリンダー。金型内に射出された高圧の溶湯によって、金型が開かないように、金型を締め付ける役割もある。 |
型締力 | clamping force | 鋳造機が金型を閉める最大の力。 |
型ずれ | mold shift; mismatch | 鋳造型の可動型、固定型もしくは上型、下型の位置が、ガイドピン、ガイドブッシュの位置ズレや精度不良、また固定型、可動型製作時のキャビティー形状の基点の精度不良により、可動型と固定型の形状が合わないこと。 |
型番 | mold number | 鋳造で使用する金型は、あるショット数で寿命となり、更新型による生産をすることになるが、その金型につける生産開始からの金型の順番、またキャビティーごとの順番を表す番号。 |
型割れ | die cracking | 金型をあるショット数、生産したのち、金型にクラック(亀裂)が生じること。 |
角R | corner R | 製品の凸になった角部に掛かる、ある半径をもった形状のこと。 |
稼働率 | operation rate | 理論的に生産できる数量に対して、実際に生産している数量の割合。 |
カプラ | coupler | 空圧回路や油圧回路をワンタッチで接続するための器具。 |
含浸処理 | impregnation processing | 鋳物の鋳巣を通してエアー、水、油などの圧漏れを止めるために、鋳巣に樹脂や無機材料を浸透させ、固める処理。有機含浸処理と無機含浸処理がある。 |
き
用語 | 英語 | 解説 |
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機械加工仕上げ | machining | 鋳物を工作機械を利用して切削加工などを行い、所要の寸法、形状に仕上げること。 |
機械的性質 | mechanical properties | 鉄や非鉄金属の材料の諸性質の中で、引張強さ、耐力、伸び、硬さなどの性質。 |
木型 | wooden pattern | 鋳物を製作するための砂型をつくるために使用する木製の型。木型の材料としては、十分乾燥させた、ひめこまつや、ひのきなどが使われる。 |
気孔 | pore | 鋳造欠陥の一つで、鋳物の内部に微小な空洞。 |
気密試験 | tightness leak test | 鋳物の内部に掛けた空気圧により、外部に空気が漏れる現象の有無を確かめる試験で、圧漏れ試験ともいう。 |
気密性 | airtightness | 鋳物を密閉し、内部に圧力を掛け、鋳物の中の気体が外部に漏れない性質。 |
逆ばり | inverse burr | バリは型の合面の隙間に、金属が浸入することによって発生するが、逆バリは合面や型の分割部に入った金属が、型に対して凸に残り、製品が欠肉する現象。 |
吸引 | suction | 真空ポンプ、真空タンクにより、空気などを吸い込むこと。 |
給水管 | water supply pipe | 水を供給する配管。 |
給湯 | molten metal pouring | 溶けた金属を金型や砂型の空隙部(方案部、製品形状部)に注ぐこと。注湯(ちゅうとう)ともいう。 |
給湯装置 | molten metal pouring equipment | 溶けた金属を金型や砂型の空隙部(方案部、製品形状部)に注ぐ装置。注湯装置(ちゅうとうそうち)ともいう。 |
凝固 | solidification | 溶けた金属(液体)が、冷えて固まる(固体になる)現象。 |
共晶 | eutectic | 合金組成の金属が凝固する際の、凝固形態、結晶組織の一つで、凝固の際に液体の金属から、二つ以上の固相が同時に晶出すること。 |
許容差 | allowance | 寸法や強度などの基準値と許容される範囲の最大値および最小値の差。 |
きらい | air pocket | 溶湯が形状部に充填される際、型に対して空隙があり、十分充填されていない不良現象。湯回り不良とは異なる現象で、エアーの行き場がなくなるときや、型と溶湯の温度差が大きいときなどに現れる。金属がまるで型を嫌っているように見えるため、「きらい」という。 |
く
用語 | 英語 | 解説 |
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クーラント | coolant | 機械加工で、切削や研磨に使用する潤滑油。 |
クーリングタワー | cooling tower | 冷却水を冷やすために屋外に設置され、冷却水を再循環使用するために、熱を放散させる装置。 |
グラインダー | grinder | 鋳物の表面を研磨するために、円板形の砥石を回転させる装置。動力は、エアー式と電気式がある。 |
クランプ | clamp | 鋳物を治具に固定するための爪形状になった押さえ部品。 |
クレビス | clevis | U字型リンクのことで、二股になった部品の両端に孔をあけて、ピンを通すようにした継手。 |
黒皮 | surface as cast | 鋳物の素材肌が機械加工後もそのまま残っていること。 |
け
用語 | 英語 | 解説 |
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蛍光探傷装置 | fluorescent flaw detector | 材料の非破壊検査装置の一つで、鋳物の表面の傷(クラック)を検出することができる。浸透剤として蛍光液を使用し、暗室でブラックライトからの紫外線を当て、その蛍光を見て、傷(クラック)を検出する。 |
珪砂 | silica sand | 花崗岩などが風化してできた、石英粒からなる砂。鋳物砂に使用する。 |
傾斜シリンダー | tilting cylinder | 設備や金型を傾斜させるための油圧や空圧のシリンダー。 |
傾斜ピン | angular pin | ダイキャスト型などで油圧シリンダーを使用せず、型の開閉動作を利用して、固定型に設置された傾斜したピンで、可動型のスライドを動かす。 |
傾動 | tilt | 重力鋳造で注湯された溶湯をホッパーなどで受け、方案、製品形状内に充填させるため、設備や型を油圧シリンダーなどで、傾けること。 |
欠陥 | defect | 鋳物の不良現象。鋳造欠陥ともいう。 |
欠肉 | underfill | ダイキャスト鋳造などでは欠けともいうが、機械的な応力がダイキャスト製品に加わり、その応力により、ダイキャスト製品の一部が破壊して欠落することをいう。鋳造工程(セキ折りなど)で発生する場合と、鋳造の後工程(バリ取りなど)で発生する場合がある。 |
減圧凝固試験 | vacuum gas test | 溶湯を小さな杓で採取し、減圧容器内のるつぼに注湯し、蓋をした後、真空ポンプで減圧し、凝固させ、冷却後に試料を切断して、ガス気泡の分布と大きさから水素量を推測する試験。テストピースをマスターワークと比較することにより、溶湯中の水素ガス量が推定できる。 |
減圧弁 | pressure-reducing valve | 配管内やユニット内の気体や液体の圧力が使用目的に対して高すぎるとき、これを減圧して、減圧した圧力を一定に保つための弁。 |
原位置 | home position | 機械、装置やロボットなどが、一定の繰り返し動作をする場合の動作の原点。 |
研削 | grinding | 機械加工の一つで、砥石などで削って加工表面を滑らかにすること。 |
元素 | element | 1種類の原子によりつくられ、物質の元となるもの。 |
研掃機 | shotblasting machine | ショット材を投射することにより、鋳物の表面を研掃する機械。鋳物の表面の錆、バリや有害物を除去する。 |
検知 | sensing | ガス漏れや湯面の高さなどを、専用の検出装置により、測定し知らせること。 |
限度見本 | boundary sample | 鋳物を品質上、合格か不合格かの限度を示した製品見本。 |
研磨 | polishing | 鋳物の表面を、サンドペーパーなど硬度の高い固体(砂)の角や表面を用いて、断続的に削り、平滑にしていく仕上げ作業。 |
こ
用語 | 英語 | 解説 |
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合金 | alloy | 複数の金属元素を溶解して凝固させてできた金属。 |
公差 | tolerance | 鋳物の寸法や機械加工した寸法の許容される差。基準値と許容される範囲の最大値と最小値の差。 |
高周波焼入れ | induction hardening | 金属(鉄・鋼)に、高周波の電磁波による電磁誘導を起こし、表面を過熱させて焼入れを行う熱処理。金属(鉄・鋼)の表面のみを硬化させて硬さが増すが、内部は靭性のある元の状態なので、表面が固く、柔軟性のある材料になる。 |
更新型 | renewal mold | 鋳造のショット数が進み、老朽化し、寿命となったため、更新された金型。 |
剛性 | rigidity | 鋳物に外力を加えて変形させようとするとき、鋳物がその外力に抵抗する性質。 |
抗折力 | transverse rupture strength | 中子砂などを試験片の形状に造型し、曲げ試験を実施し、曲げに対する強度を示す物性値。 |
後退限(後退端) | backward limit | 金型や中子型の押出板やスライドが、シリンダーによる引戻しや、リターンピンによって戻った位置。 |
工程能力 | process capability | 鋳物の生産工程が定められた規格の中で、製品の寸法などのばらつきが少なく生産することができるかを示す指標。CpやCpkで表す。 |
光電管 | photocell | 鋳造機やプレス機など、開閉する機械の安全装置に使われ、光電効果を利用して、光エネルギーを電気エネルギーに変換するこの装置により、作業者の侵入を検知し、機械を自動的に止めることができる。 |
硬度計 | hardness tester | 物質の硬さ(硬度)を測定する装置。試験材料に球形や方形の圧子を押し込み、そのくぼみの大きさを測定し、硬さに換算する。 |
勾配 | gradient | 面の傾き。動作方向からの角度で表す。 |
互換性 | compatibility | 別のものに置き換えても問題なく使えるという特性。 |
刻印 | engraved mark | 鋳物を識別するために、数字やアルファベットなどの印を打つこと。 |
黒鉛 | graphite | 主成分は炭素。耐熱性、固体潤滑性があり、鋳造金型の焼き付き防止などに用いる。 |
故障 | failure | 繰り返し動作している機械や型が、何らかの原因で、動作を停止すること。 |
固溶化 | solution | 元素または化合物(合金成分)を結晶粒に溶かし込み、析出物を出さないように急冷するプロセス。 |
コンタミ | contamination | 鋳物の砂や機械加工の切粉など、製品の中に残っている不純物。 |
コンベア | conveyor | 鋳物砂や鋳物などを連続的に運ぶための動力源を持った運搬機械。動力源や構成材料により、ベルトコンベア、チェーンコンベア、ローラーコンベア、スクリューコンベア、振動コンベアなどがある。 |