「乗らずに学べるバイクレッスン」発進が苦手な方向け! クラッチの構造と役割を知って操作のコツをつかもう!
- 2024年8月9日
こんにちは、ヤマハ発動機販売の城です。
8月に入り暑い日が続いています。暑い季節のツーリングでは、体感温度60℃以上になることもあります!十分に注意してください!
なるべく早朝の涼しい時間に市街地を抜け、熱中症対策をしっかり行い、安全で楽しい快適なバイクライフを過ごしてください♫
今回の乗らずに学べるバイクレッスンは、「クラッチの構造と操作のコツ」をおはなしします。
普段何気なく操作しているクラッチの構造を理解することで、クラッチ操作のイメージも掴みやすいとおもいます。
また、間違った操作をすると摩耗を早めたりトラブルの原因になってしまうこともあります。
◆クラッチと周辺部品の構造と役割
クラッチと周辺部品の構造を簡単に図で書き示すとこんな感じです。
赤い矢印はエンジンで作られたエネルギーをまずクラッチへ伝え、次にミッション、リヤタイヤへ伝わることを示しています。
それぞれの部品の役割をみてみましょう。
エンジン⇒ガソリンを燃やした爆発力を、ピストンの上下運動から回転運動に変えて出力します。バイクを走らせる源であり、回転が上がるとパワーも出ます。
クラッチ⇒エンジンの出力をミッション、リヤタイヤに伝える量を調整しています。今回のおはなしの主役です。
ミッション⇒今回は詳しく触れませんが、大きなギヤと小さなギヤの組み合わせを変えることでリヤタイヤの力と回転数を調整しています。
簡単に説明すると、
1速⇒小さなギヤから大きなギヤへ力を伝える、力が強いがスピードは出ない
5速⇒大きなギヤから小さなギヤへ力を伝える、スピードは出るが力が弱い
エンジンの負荷(上り下り)やスピードによって適切なギヤを選択する必要があります。
リヤタイヤ⇒エンジンの力を路面に伝えます。これが回転することによりバイクは走ります。
次にクラッチの動きについて見てみましょう。
・クラッチが切れている状態
クラッチレバーを握った状態です。エンジンの力はリヤタイヤに伝わりません。信号待ちで停止している時や、走行中にギヤチェンジをする時の状態です。赤い矢印はエンジンからの力の伝わり具合を示していますが、ピンク色の板(以下クラッチ板)の部分から先へは伝わっていません。
・クラッチが繋がった状態
クラッチレバーを放している状態です。クラッチ板は繋がった状態でエンジンの力はそのままリヤタイヤに伝わります。赤い矢印もエンジンの力がそのまま100%出力されている事がわかります。通常走行している時はこのようになっています。
・半クラッチの状態
クラッチレバーを半分握った状態です。クラッチ板が微妙に滑ってエンジンの出力の半分をリヤタイヤに伝えている状態です。半クラッチ状態と言われますが、ここからレバーの握る量を少しだけ減らしたり増やしたりすることで25%~75%の出力を伝える事ができます。練習をすればもっと細かく調整することも可能です。
◆クラッチの必要性
クラッチをどのように使えばスムーズな運転に繋がるのでしょうか?
クラッチレバーをよく使うシーンとして思い浮かぶのは発進時ですよね?
発進時になぜクラッチが必要なのか考えてみましょう。
皆さん「慣性の法則」を覚えていますか?
「すべての物体は、外部から力を加えられない限り、静止している物体は静止し続け、運動している物体は等速直線運動を続ける」
この法則から止まっているバイクを動かすためにはある程度の力が必要です。しかし動き出してしまえばそんなに力は要らないという事ですね。
もしクラッチが無かったら、ギヤを入れた瞬間にエンジンの力が負けて止まってしまいます。逆にエンジン回転を上げた状態でいきなりギヤが繋がったら・・・急発進してライダーが振り落とされてしまうかもしれません。
それらを防ぐために半クラッチを使ってエンジンの力を徐々にリヤタイヤに伝える事でスムーズに発進ができるのです。
先ほど半クラッチはクラッチ板が滑る事でエンジンの力をリヤタイヤに伝える量を調整しているとおはなししました。
※この様な2種類のクラッチ板が交互に重なり合って滑らせています。
この構造から発進時にエンジン回転を上げすぎてしまうと摩擦による熱でクラッチ板を痛めてしまいますし急発進のリスクが高まってしまいます。
逆にエンジン回転を全く上げないと、力が足らず止まってしまう(エンスト)事になります。
そのため発進時はエンジン回転を少し上げると同時に、クラッチを徐々に繋げていく操作が必要になります。
◆クラッチレバー調整と発進時のクラッチ操作のコツについて
最後にクラッチレバーの調整と操作のコツについて順番におはなししていきます。
① クラッチが繋がる位置を確認しましょう
エンジンをかけてクラッチを握りギヤを1速に入れます。
次にクラッチをゆっくり放すとバイクが動き出す位置があります。まずはその位置を確認してください。
② クラッチが繋がる位置を調整しましょう
動き出すレバーの位置が近すぎ、または遠すぎる場合はアジャスターを回してレバーの位置を調整してみてください。
※エンジンは停止した状態で調整してください
※車種別の調整方法は取扱説明書で確認してください
中指の第二関節にレバーが差し掛かったぐらいから動き出すように調整すると、疲れにくく操作もしやすいですよ。
※これぐらいの位置
③ イメージトレーニング
発進時のスロットル開度は車両によって異なりますが、250ccぐらいの小排気量車は大体1/8ぐらいです(ほんの少しです)。右手のスロットルをスッと回すのと同時に、左手のクラッチレバーを先ほど確認した車両が動き出す位置までスッと放します。その後スロットルをさらにじわーっと回しながらクラッチレバーもじわーっと放していきます。
※すっと⇒黄矢印 じわーっ⇒青矢印
④ 実践しましょう
イメージがつかめたら実践してみましょう。
ポイントはクラッチレバーを車両が動き出す位置まですっと放す、クラッチとスロットル操作は同時に動かす事です。
車両が動き出す位置を指が覚えると発進時の苦手意識はかなり解消されるでしょう。
ぜひ試してみてください!!
今回は「クラッチの構造と操作のコツ」についておはなししました。
次回は「ミッションの構造とギヤチェンジのコツ」についておはなしします!
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