梅雨を乗り切る、レインスーツの基礎知識

やっと暖かくなったと思ったら、もうすぐ梅雨......。レインスーツが手放せない季節がやってきます。ということで今回のテーマは「レインスーツ」。

↑レインスーツはこれからの季節の必需品です！（写真はワイズギア「YAR04サイバーテックスIII+Sレインスーツ」）

レインスーツを選ぶポイント、長く使えるメンテナンス方法を、ワイズギアの山田正武さんに語ってもらいます。

こんにちは、山田です。

普通のレインスーツとバイク用のレインスーツの違いは雨の当たり方の違いに対応しているかどうか。

普通のレインスーツは徒歩での使用を想定しています。この場合、雨は上から下へと流れていきます。バイク用のレインスーツは運転するときに最も効果が発揮されるように作られているんです。走っているとき、雨は前から後ろへと流れていきますよね。
じゃあ、どのような対処をしているのかというと......。

一番わかりやすい所から説明しますね。

↑人差し指のあたりに注目してください。

生地の端が折り返されているのが確認できると思います、これは、風といっしょに雨が入ってこないようにするためのもの。ワイズギアのレインスーツはすべて、このネズミ返しのようなものがついているんです。このような加工がいたるところに施されています。

さらに、機能面だけでなく、サイズにも違いがあります。
バイク用のレインスーツは、普通のレインスーツに比べて、ハーフサイズからワンサイズ大きいことをご存じですか？
これは、ライディングウエアを着たり、グローブをつけていることを想定しているから。ライディングの邪魔にならないように、そしてバイクから降りても快適に動けるようなサイズ展開をしているんです。

レインスーツを購入したものの、いざ雨の日に使用して結局、中の服までグッショリ。なんてことにならないように。是非レインスーツ選びのポイントのひとつにしていただければと思います。

では、次にメンテナンス方法についてご説明しましょう。
その前に「防水」と「撥水」の違いってわかりますか？

レインスーツに2種類の水をかけてみましょう。
ひとつは水道水、もうひとつは洗剤を溶かした水です。

↑違いがわかりますか？

きれいな水滴になっているのが水道水、黒っぽく見えているのが洗剤を溶かした水です。
洗剤を溶かした水は生地に吸い込まれているように見えます。
これは水に汚れがついている状態を再現したもの。レインスーツが汚れていると撥水性能が落ちてしまうという実験です。

レインスーツを何度も着ているうちに、「何だか水を弾かなくなってきたな」と思うことがあると思います。
これを防水性能がなくなったと言う人もいますが、実は防水性能は生きている。撥水性能がなくなっただけなんです。

撥水するための仕組みを略図でご説明します。

↑大きな赤丸を水、まち針みたいな突起を撥水塩基と思ってください。

撥水加工されている生地は、布の上に小さな芝生のようなものが生えていると思ってください。その小さな芝生の上にある撥水塩基が水を弾くのです。
洗剤を入れた水が黒っぽく見えていたのは芝生のてっぺんがなくなっちゃって、芝生の地面まで水が行っちゃったから。

撥水性能を落とさないためには、汚れを落とすことが重要です。
一番よくないのは脱いだあと、シートの下などに入れっぱなしにしていること。
汚れや癒着して撥水性能が落ちると同時に、熱による劣化で防水性能まで落ちてしまうんです。

レインスーツを脱いだら、軽くふいて、もしくは水洗いして、陰干しすること。
こういう加工物質っていうのは全部そうなんですが、紫外線劣化をしていくので、直射日光を当て続けるとボロボロになっていく。そうなったら製品の寿命。

毎回洗うのがベターですが、とりあえず、濡れたまま高温多湿の所に置きっぱなしにしない、直射日光に当てない。これを実践してください。
最後に、絶対してはいけないのは乾燥機に入れること。最悪の場合は、撥水加工も防水加工も一発ではがれてしまうことがあります。

再び加藤です。
僕は普通のレインスーツからバイク用レインスーツへの転向組。
はじめてバイク用のレインスーツを着て、どしゃぶりの雨の中を走ったときの「こんなに違うのか」という驚きは今でもよく覚えています。

でも、お手入れに関しては、「雨に濡れてりゃ洗濯の代わりになるんじゃない？」なんて思っていました。
これからは、こまめに手入れすることにします！
皆さんも使用用途にあったレインスーツを選んで、梅雨での快適なライディングを楽しんでください。お手入れも忘れずに！

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