55mph - 「レストア・ミニコラム」 Vol.1 コーションラベルの再現について
コミュニケーションプラザで展示されている歴史車両たち。そのレストアに秘められた「こだわり」を紹介、解説します。
新車の雰囲気という点で、印象を大きく左右するのが車体各部に貼られたコーションラベルである。機能とは直接関係のない部分だけに、世に流通している中古車の多くはここが紛失または傷んでいる。その裏返しとして、この部分がきちんとしていると、程度が良いだけの中古車とはひと味違った「新車感」が格段に高まるのである。もちろん、コミュニケーションプラザのレストアでは、このコーションラベルも妥協なく再現されている。
花井さん曰く、各車の図面にはこうしたコーションラベルの形状やサイズ、色、内容、フォント、貼る場所なども厳密に指示が書き込まれているという。したがって仮にベース車両のラベルが剥がれていたとしても当時と同じものを作り直して、当時と同じ場所に貼ることができる。ラベルを作成する印刷所に図面を送って新たに版を起こすことになるが、そのプロセスは基本的に新車を生産するときと同じである。ただし、古い車両の場合は色の指定がカラーコードではなく色名で記されているため、微妙な色のニュアンスはカタログや当時の記憶などを参考にして追加指示する。ラベルは一度に数枚製作し、今後のためのストックとしてファイルされている。
- Vol.8 レストア室の設備について
- Vol.7 バックミラーについて
- Vol.6 タイヤについて
- Vol.5 バフ研磨の再現について
- Vol.4 動態保存が記憶の扉を開く
- Vol.3 外装部品のペイントについて
- Vol.2 エンブレムの再現について
- コミュニケーションプラザ 歴史車両走行テスト
- バイクが文化遺産に変わるまで Vol.6 「火入れ」
- バイクが文化遺産に変わるまで Vol.5 「部品の検品、組付け」
- バイクが文化遺産に変わるまで Vol.4 「外観およびステッカーの復元」
- バイクが文化遺産に変わるまで Vol.3 「車両の分解」
- バイクが文化遺産に変わるまで Vol.2 「車両の確認」
- バイクが文化遺産に変わるまで Vol.1 「車両の選定・調達」
- Vol.3 大隅哲雄(コミュニケーションプラザ 館長)
- Vol.2 北川成人(レースマシンレストア担当)
- Vol.1 花井眞一(市販車レストア担当)